植物には一般的に知られた名の他に、いくつかの異名を持つものがあります。
今回はそんな植物の和風で素敵な異名・別称(あるいはカタカナ名の植物の和名)をいくつかご紹介していきます。
(植物の説明の下の ・ で箇条書きになっているものがその植物の異名・別名です。)
「草」自体の異称・美称は「か行」の「草の異称・美称」に載せています。
- 赤芽柏【あかめがしわ】
- トウダイグサ科・落葉高木。葉がカシワのように大きいが、カシワとは別の種類。新芽が赤いのが特徴。
- 御菜葉/五菜葉【ごさいば】(葉に菜(おかず)を盛ったことから。)
- 菜盛花【さいもりばな】
- 久木【ひさぎ】
- 薊【あざみ】
- キク科アザミ属の多年草。
- 刺草【しそう】
- 葦/芦【あし】
- イネ科・多年草。河原などに多く自生している。穂が出ていない状態を「芦」、穂が出たものを「葦」と字を使い分けることもある。
- 玉江草【たまえぐさ】
- 難波草【なにわぐさ】
- 浜荻【はまおぎ】
- 一葉草【ひとはぐさ】(桐、スミレの異称でもある。)
- ヨシ(「あし」が「悪し」に通じることから「良し」に言い換えたもの。)
- 翌檜【あすなろ】
- ヒノキ科・針葉樹。ヒノキに似ていることから「明日はヒノキになろう」が語源と言われている。日本固有種。
- 貴/阿天【あて】(石川・富山での呼び名。「上品なヒノキ」の意。)
- 羅漢柏【らかんはく】(アスナロの漢名。)
- アネモネ【anemone】
- キンポウゲ科・アネモネ属。
- 花一華【はないちげ】
- 紅花翁草【べにばなおきなぐさ】
- 牡丹一華【ぼたんいちげ】
- 油菜【あぶらな】
- →「菜の花」を参照。
- 甘藻【あまも】
- ヒルムシロ科・多年草。
- 竜宮の乙姫の元結の切外し【りゅうぐうのおとひめのもとゆいのきりはずし】
- 杏/杏子【あんず】
- バラ科サクラ族の落葉高木。アプリコット。
- 唐桃【からもも】
- 空木/卯木【うつぎ】(卯の花【うのはな】)
- ユキノシタ科・落葉低木。初夏に白い五弁の花をつける。
「空木」の名は、幹の中が空洞なことから。
- 卯月の雪【うづきのゆき】
- 垣見草【かきみそう】
- 潮見草【しおみぐさ】
- 水晶花【すいしょうか】
- 夏雪草【なつゆきそう】
- 雪見草【ゆきみぐさ/ゆきみそう】
- 梅【うめ】
- バラ科サクラ属・落葉高木。早春に五弁の香り高い花を咲かせる。
- 風待草【かぜまちぐさ】
- 香栄草【かばえくさ】
- 好文木【こうぶんぼく】
- 木花/木の花【このはな】
- 清客【せいかく】(本来は風流人を指す言葉。)
- 鉄幹【てっかん】(樹齢100年以上の老梅のこと。)
- 匂草【においぐさ】
- 初名草【はつなぐさ】
- 花梅【はなうめ】(花を観賞するための梅。食用の「実梅」との区別。)
- 花の兄【はなのあに】(一年のうちで他の花に先駆けて咲くことから。逆に遅れて咲く菊を「弟草」「花の弟」と呼ぶ。)
- 春告草【はるつげぐさ】
- 実梅【みうめ】(食用の梅。花を観賞するための「花梅」との区別。)
- 木母【もくぼ】
- 花魁草【おいらんそう】
-
- 草夾竹桃【くさきょうちくとう】
- 大葉子【おおばこ】
- オオバコ科の多年草。漢方薬にもなる。
- 蛙葉【かえるば】
死んだカエルをこの葉で包むと生き返ると言われたことから。 - 車前草【しゃぜんそう】
- 蛙葉【かえるば】
- 白粉花【おしろいばな】
- オシロイバナ科・多年草。夏から秋にかけて黄色・紅色・白などの花を咲かせる。
果実は球形で黒く、白粉 のような白い粉状の胚乳を内包している。
- 野茉莉【のまり】
- 夕化粧【ゆうげしょう】
- 苧環【おだまき】
- キンポウゲ科・多年草。4〜5月頃に碧紫色または白の五弁の花を咲かせる。
- 糸繰草【いとくりそう】
- オレガノ
- シソ科・多年草。ハッカのような香りがあり、香辛料として使われる。
- 花薄荷【はなはっか】
- カーネーション【carnation】
- ナデシコ科・ナデシコ属。母の日の贈ることで有名な花。
- 阿蘭陀石竹【おらんだせきちく】
- 阿蘭陀撫子【おらんだなでしこ】
- 麝香撫子【じゃこうなでしこ】
- ガーベラ【garbera】
- キク科・ガーベラ属。
- 大千本槍【おおせんぼんやり】
- 花車【はなぐるま】
- 柏【かしわ】
- ブナ科ナラ属。落葉高木。
古くは堅い葉の総称で、食物を盛るのに使われた。
- 玉柏【たまがしわ】(柏の美称)
- 霞草【かすみそう】
- ナデシコ科・多年草。
- 小米撫子【こごめなでしこ】
- 花糸撫子【はないとなでしこ】
- 群撫子【むれなでしこ】
- カトレア【cattleya】
- ラン科・カトレア属。洋ランの女王。10cm以上の大きな花を咲かせ、贈答品として好まれる。
- 日の出蘭【ひのでらん】
- 南瓜【かぼちゃ】
- ウリ科の蔓性一年生果菜。薬草としては美肌・貧血・糖尿病・胎児の発育・扁桃腺炎などに有効とされている。
- チンクゥー(沖縄方言)
- 唐茄子【とうなす】
- 南瓜【なんか】
- 南京【なんきん】
- カラー【calla】
- サトイモ科・ザンテデスキア属。
くるりと一巻きした花びらのように見えるものは仏炎苞というガクの一種で、花は中心の黄色い芯の部分。
- 海芋【かいう】
- 烏瓜【からすうり】
- ウリ科・つる性多年草。朱色の果実をつける。
カラスが好きな実という誤解が名の由来だが、実際はカラスの好物ではない。
- 王瓜【おうか】
- 王瓜根【おうかこん】(カラスウリの根。)
- 王瓜子【おうかし】(カラスウリの乾燥した種子。生薬。)
- 玉梓/玉章【たまずさ】(手紙の古称「たまずさ」が由来。種子の形状が中央をひねって結んだ手紙に似ていることから。)
- 萱草【かんぞう】
- ユリ科。初夏から夏にかけて咲く。「甘草」とは別のもの。
- 恋忘れ草【こいわすれぐさ】(つらい恋を忘れさせてくれる花と言われ、和歌にも詠まれてきた。)
- 菊【きく】
- キク科キク属・多年草。古くから観賞用の園芸品種として育てられている。
- 秋しくの花【あきしくのはな】
- 秋の花【あきのはな】
- 隠逸花【いんいつか】
- 陰君子【いんくんし】
- 翁草【おきなぐさ】
- 弟草【おととぐさ】
- 形見草【かたみぐさ】
- 河原お萩【かわらおはぎ】
- 河原蓬【かわらよもぎ】
- 黄金草【こがねぐさ】
- 草の主【くさのあるじ】
- 日精草【じっせいそう】
- 霜見草【しもみぐさ】(寒菊のこと。)
- 霜下の傑【そうかのけつ】
- 契草【ちぎりぐさ】
- 重陽花【ちょうようばな】
- 千代草【ちよぐさ】
- 千代見草【ちよみぐさ】
- 長月草【ながつきぐさ】
- 日精草【にっせいそう】
- 残り草【のこりぐさ】(寒菊のこと。)
- 花の弟【はなのおとと】(春に咲く梅を「花の兄」、秋に咲く菊を「花の弟」と呼ぶ。)
- 冬の初見草【ふゆのはつみぐさ】(寒菊のこと。)
- 星見草【ほしみぐさ】
- 勝り草/優り草【まさりぐさ】
- 鞠花【まりばな】
- 百代草【ももよぐさ】
- 山路草【やまじぐさ】
- 齢草【よわいぐさ】
- キャベツ【cabbage】
- アブラナ科の葉菜。
- 甘藍【かんらん】(葉牡丹の別称でもある。)
- 玉菜/球菜【たまな】
- 草の異称・美称
- 「草」自体の異称・美称です。
- 小草【おぐさ】(草の美称。あるいは「小さい草」)
- 真草【まくさ】(草の美称。特に屋根を葺くのに使う草の美称。)
- 美草/真草【みくさ】(草の美称。特に屋根を葺くのに使う萱の美称。)
- グラジオラス【gladiolus】
- アヤメ科・グラジオラス(トウショウブ)属。
- 阿蘭陀菖蒲【おらんだしょうぶ】
- 唐菖蒲【とうしょうぶ】
- クリスマスローズ【Christmas rose】
- キンポウゲ科・ヘレポルス属。
- 寒芍薬【かんしゃくやく】
- クレマチス【clematis】
- キンポウゲ科・クレマチス属。茎が蔓のように細いのが特徴。
「カザグルマ」や「テッセン」などの原種から改良された園芸品種の総称。
- 鉄線【てっせん】
- グロリオサ【gloriosa】
- ユリ科・グロリオサ属。燃え上がる炎のような形の花びらが特徴。
- 狐百合【きつねゆり】
- 百合車【ゆりぐるま】
- 月下美人【げっかびじん】
-
- 女王花【じょおうか】
- コスモス【cosmos】
- キク科・コスモス属。
- 秋桜【あきざくら】
- 大春車菊【おおはるしゃぎく】
- 桜【さくら】
- バラ科サクラ属の落葉高木(あるいは低木)。日本の国花の一つ。
- 曙草【あけぼのぐさ】
- 徒桜【あだざくら】(儚く散る桜のこと。)
- 徒名草【あだなぐさ】
- 花王【かおう】(牡丹の異名でもある。)
- 挿頭草【かざしぐさ】
- 手向け花【たむけばな】
- 春告草【はるつげぐさ】
- 夢見草【ゆめみぐさ】
- 吉野草【よしのぐさ】
- 柘榴【ざくろ】
- ミソハギ科・落葉小高木。
- 一点紅【いってんこう】(青葉の中に目立つ赤い花をつけることから。)
- 色玉【いろだま】(古名。)
- 石榴【せきりゅう】
- 百日紅【さるすべり】
- 夏から初秋の長期にわたって花をつける。白い花をつける「シロバナサルスベリ」もある。
- くすぐりの木(百日紅のつるつるした木の膚をこすると、花や葉が笑うように揺れ動くことから。)
- サルビア【salvia】
- アキギリ属の一年草。ブラジル原産。
- 緋衣草【ひごろもそう】
- 山椒【さんしょう】
- ミカン科サンショウ属。落葉低木。葉や果実、芽を香辛料に使う。
- 川薑【かわはじかみ】(呉茱萸【ごしゅゆ】の別称でもある。)
- 椒【はじかみ】(古称。ショウガの古称でもある。)
- シークヮーサー
- ミカン科・常緑低木。名前は沖縄の言葉で「酸味を加える」の意。
- 平実檸檬【ひらみれもん】
- シクラメン【cyclamen】
- サクラソウ科・シクラメン属の多年草。
- 篝火花【かがりびばな】
- 秋海棠【しゅうかいどう】
- シュウカイドウ科シュウカイドウ属(ベゴニア)・多年草。
- 断腸花【だんちょうか】
- 生姜【しょうが】
- ショウガ科の多年草。食用および香辛料として使う。ジンジャー。
- 椒【はじかみ】(古称。サンショウの古称でもある。)
- 花縮砂【はなしゅくしゃ】
- 沈丁花【じんちょうげ】
- ジンチョウゲ科・常緑低木。花は管状で内面は白く、外面は赤紫色・または白。香気が強いのが特徴。
- 瑞香【ずいこう】
- 千里香【せんりこう】
- 輪丁花【りんちょうげ】
- スイートピー【sweet pea】
- マメ科・ラティルス属の蔓性一年草。ピンク・白・紫・まだらなどの蝶形花をつける。
- 麝香連理草【じゃこうれんりそう】
- 花豌豆【はなえんどう】
- 水仙【すいせん】
- ヒガンバナ科・多年草。1月の誕生花。
- 雅客【がかく】
- 金盞花【きんせんか】(今ではキク科の黄色やオレンジをした花のことだが、七十二候の「金盞香(きんせんかさく)」では「水仙」を指す。)
- 金盞銀台【きんせんぎんだい】(「金盞」は金の杯のこと。外側の白い花びらを銀の台、内側の黄色い部分を金の杯に見立てたものか。)
- きんでばな(鹿児島方言。)
- 雪中花【せっちゅうか】
- ちちろ(長野方言。)
- 杉【すぎ】
- スギ科・常緑針葉樹。
- 真木/艨^槙【まき】(杉の古名。「純粋な木」を意味することば。ヒノキの美称でもある。)
- 倭木(杉の漢名)
- スターチス【statice】
- イソマツ科・リモニウム属。
- 花浜匙【はなはまさじ】
- 薄【すすき】
- イネ科・多年草。
- 鈴蘭【すずらん】
- ユリ科・多年草。晩春に白い六弁のツリガネ状の小花をつける。
- 君影草【きみかげそう】
- 聖母の涙【せいぼのなみだ】(フランス由来。キリストが磔になった際、聖母が流した涙が花になったという伝説から。)
- 谷間の百合【たにまのゆり】
- 天国への階段【てんごくへのかいだん】(小さな花が連なる様子を天国へ続く階段に見立てた呼び名。「ヤコブの梯子」ともいう。)
- ストレリチア【strelizia】
- バショウ科・ストレリチア属の多年草。高さ約1mで、鮮やかなオレンジ色と鳥のような形の花が特徴。
- 極楽鳥花【ごくらくちょうか】
- 菫【すみれ】
- スミレ科・多年草。春に濃い紫色の花を一つつける。
- 菫々菜【きんきんさい】
- 相撲取草【すもうとりぐさ】
- 一葉草【ひとはぐさ】(葦、桐の異称でもある。)
- 一夜草【ひとよぐさ】
- ゼラニウム
- フウロソウ科・多年草。
- 天竺葵【てんじくあおい】
- 芹【せり】
- セリ科多年草。春の七草のひとつ。解熱・高血圧・貧血・頭痛・鼻血などに効くという薬草としての一面も持つ。
- シーリバー(沖縄方言)
- 白根草【しろねぐさ】
- 根白草【ねしろぐさ】
- 【そらまめ】
- マメ科・一年草。
- 大角草【いささぐさ】
- 伊豆豆【いずまめ】
- 雁豆【がんまめ】
- 高野豆【こうやまめ/こやまめ】
- 四月豆【しがつまめ】(4月頃に花が咲くことから。)
- 天豆【てんまめ】
- 天竺豆【てんじくまめ】
- 夏豆【なつまめ】(ダイズの早生種の総称でもある。)
- 野良豆【のらまめ】
- 弾け豆【はじけまめ】
- 雪割豆【ゆきわりまめ】
- <関連項目へ>
※このページは津籠 睦月によるオリジナル和風ファンタジー小説「花咲く夜に君の名を呼ぶ」の本文ページ内に隠された、本編と関係がありそうで無さそうな細かな和風ファンタジーの雑学・豆知識をご紹介する「おまけコーナー」です。
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