鳥には一般的に知られた名の他に、いくつかの異名を持つものがあります。
今回はそんな鳥たちの和風で素敵な異名・別称をいくつかご紹介していきます。
(鳥の説明の下の ・ で箇条書きになっているものがその鳥の異名・別名(あるいは古称・旧称)です。)
- 青葉梟【あおばずく】
- フクロウ目フクロウ科アオバズク属。青葉の出始める頃に日本に渡って来る夏鳥。
- イモオヤシ(愛媛県北宇和郡近辺方言。アオバズクの初声が、里芋の植え付け時期を告げるとされているため。)
- 赤翡翠【あかしょうびん】
- ブッポウソウ目カワセミ科。夏鳥として飛来する渡り鳥。
- アマケロ
- 雨乞鳥【あまごいどり】(雨降りの兆とされることから。)
- コッカル(八重山諸島方言。)
- ナンバンドリ(くちばしの形と色がナンバンに似ていることから。)
- 水恋鳥【みずこいどり】(雨降りの兆とされることから。)
- 鵜【う】
- ペリカン目ウ科の水鳥。日本では「ウミウ」「カワウ」「ヒメウ」などがいる。
飼い馴らしたウミウを使って鮎などを獲る漁を「鵜飼」と呼ぶ。
- 島巣【します】(鵜を指す。鵜の巣のことを「島つ巣」と呼ぶ。)
- 島つ鳥【しまつとり】(「島の鳥」の意。)
- 鶯【うぐいす】
- スズメ目ヒタキ科ウグイス亜科。春に美しい声でさえずる。
- 歌詠鳥/歌詠み鳥【うたよみどり】
- 黄粉鳥【きなこどり】
- 経読鳥【きょうよみどり】
- 金衣鳥【きんいちょう/きんえちょう】(古くは高麗ウグイスの呼び名。「金衣公子(きんいこうし)」とも呼ぶ。)
- 禁め鳥【とどめどり】
- 香鳥/匂鳥【においどり】
- 花見草(女房詞。)
- 花見鳥【はなみどり】
- 春知らせ鳥【はるしらせどり】
- 春告鳥【はるつげどり】
- 春鳥【はるとり】(文字通り春の鳥、春に鳴く鳥を指すこともある。)
- 春の使【はるのつかい】
- 人来鳥【ひとくどり】
- 法吉鳥【ほうきどり】
- 法吉鳥【ほほきどり】(古称)
- 耳目鳥【みみめどり】
- 百千鳥【ももちどり】
- 鷽【うそ】
- 文鳥に似て、琴を弾くようにうつくしい声で鳴くと言われている。
- 琴弾鳥【ことひきどり】
- エトピリカ
- 冬期北海道の海に多く見られるチドリ目ウミスズメ科の海鳥。
- 花魁鳥【おいらんどり】
- かいつぶり
- カイツブリ目カイツブリ科。水鳥。
- 一丁潜り【いっちょうむぐり】
- かいつむり(カタツムリを指すこともある。)
- 息長鳥【しながどり】
- 鳰【にお】(古名。)
- 鳰鳥【におどり】(古名。)
- 八丁潜り【はっちょうむぐり】
- 潜っちょ【むぐっちょ】
- 懸巣【カケス】
- スズメ目カラス科。カシの実を好んで食べたり貯蔵したりする。
- 樫鳥【かしどり】
- 宿貸鳥【やどかしどり】(ツバメまたはウグイスの異称とする説もある。)
- 鵲【かささぎ】
- スズメ目カラス科。カラスよりやや小さく、全体が黒の金属光沢だが、肩羽と腹面が白い。
古くはサギの一種(現在のアオサギ)のことを言う。
- 烏鵲【うじゃく】
- 勝鴉/勝烏/かち烏【かちがらす】(戦勝を予告する鳥とされたことから。)
- 喜鵲【きじゃく】(幸運を運ぶとされたことから。)
- 高麗烏【こうらいがらす】
- 筑後烏【ちくごがらす】
- 朝鮮烏【ちょうせんがらす】
- 唐烏【とうがらす】
- 肥前烏【ひぜんがらす】
- 郭公【かっこう】
- カッコウ目カッコウ科。夏に日本に渡来して、他の鳥の巣に自分の卵を「托卵」する。鳴き声は「カッコウ」。
- 閑古鳥【かんこどり】
- 合法鳥【がっぽうどり】
- 種蒔き鳥【たねまきどり】
- 布穀鳥【ふふどり】(古称。)
- 呼子鳥/喚子鳥【よぶこどり】
- 鴉/烏【からす】
- スズメ目カラス科カラス属およびそれに近縁の鳥。日本ではハシブトガラスとハシボソガラスの2種が主。
- 明烏/明鴉【あけがらす】(明け方に鳴くカラス。またはその鳴き声のこと。)
- 嘘鳥【うそどり】(ギリシャ神話由来。アポロンに嘘を教えた罰で全身を黒くされたという神話から。万葉集でも存在しない白いカラスがいると騙す話がある。)
- 大嘘鳥【おおうそどり】
- 大おそ鳥【おおおそどり】
- 屋烏【おくう】(屋根にとまっているカラス。)
- 寒鴉【かんあ/かんがらす】(冬のカラス。)
- 慈鳥【じちょう】
- 春鴉【はるがらす】(春のカラス。)
- ひもす鳥【ひもすどり】(「日々(かか)」と鳴くことから、「日を申す」で「ひもす」)
- 軽鴨【かるがも】
- カモの一種。夏も日本に留まって繁殖する。
- 黒鴨【くろがも】(ここではカルガモの別称だが、クロガモという種類もいる。)
- 泥鴨【どろがも/でろがも】
- 夏鴨【なつがも】
- 翡翠【かわせみ】
- ブッポウソウ目カワセミ科。その美しさから「空飛ぶ宝石」と呼ばれる。
- 翡翠【しょうびん】
- そにどり(古称。漢字は立の右側に鳥(JIS範囲外漢字のため表示できません。))
- 雁【がん】
- カモ目の鳥のうちで大形の水鳥の総称。白色のものはハクチョウ。
- 稲負鳥【いなおおせどり】
- 雁【かり】
- 雁が音/雁金【かりがね】(雁そのものを指す場合と、雁の鳴き声を指す場合がある。)
- つつなはせ鳥/つつなわせ鳥【つつなわせどり】(セキレイの異称でもある。)
- 二季鳥【にきどり】
- 二季鳥【ふたきどり】
- 雉【きじ】
- キジ目キジ科。日本の国鳥。
- 雉子【きぎし】
- 雉子【きぎす】
- 白御鳥【しろおとり】(白尾鳥が元。尾が体の色に比べて白いため。)
- 菅根鳥【すがねどり】
- 鷹の鳥【たかのとり】(鷹狩りでの最高の獲物であったことから。)
- 水鶏【くいな】
- ツル目クイナ科の鳥。
- 冬水鶏【ふゆくいな】
- 鸛【こうのとり】
- コウノトリ目コウノトリ科。
- 鸛鶴【こうづる】
- 七面鳥【しちめんちょう】
- キジ目シチメンチョウ科。首周辺の羽毛の無い皮膚部分が、興奮すると赤や青などに変化するため「七つの顔を持つ鳥」とされた。
- 海雉【うみきじ】
- カクラン鳥【kalkoen】(旧称。)
- 吐綬鶏【とじゅけい】
- 白子鳩【しらこばと】
- ハトの一種で、頭・頸・下面は紫がかった灰白色、頸の後ろ側に首輪のような黒い紋があり、背面が灰褐色。
- 数珠掛鳩【じゅずかけばと/ずずかけばと】(「ずず」は「じゅず」が直音化したもの。)
- 鶺鴒【せきれい】
- スズメ目セキレイ科。長い尾を上下に振る習性のある小鳥。
- 石嫁ぎ【いしくなぎ】
- 石叩き/石敲き【いしたたき】
- 妹背鳥【いもせどり】
- 教鳥【おしえどり】
- 河原雀【かわらすずめ】
- 恋教へ鳥【こいおしえどり】
- 恋知鳥【こいしりどり】
- つつ
- つつなはせ鳥/つつなわせ鳥【つつなわせどり】(雁の異称でもある。)
- 嫁教鳥【とつぎおしえどり】
- 鶺鴒【にわくなぎ】(古名。)
- 鶺鴒【にわくなぶり】(古名。)
- まなばしら(古名。)
- 嫁教え鳥【よめおしえどり】
- 嫁学び鳥【よめまなびどり】
- 燕【つばめ】
- スズメ目ツバメ科。春に飛来して巣を作り、秋に南方に去っていく渡り鳥。
- 玄鳥【げんちょう】
- 燕【つばくら】(「つばくらめ」の略)
- 燕【つばくらめ】(古称)
- 燕【つばくろ】
- 初燕【はつつばめ】(春の季語。その年に初めて見るツバメのこと。)
- 鶴【つる】
- ツル目ツル科。亀と並んで長寿の象徴とされるが、実際の寿命は長くて60年ほど。
- 葦田鶴【あしたず】
- 仙客【せんかく】(雅称。)
- 仙禽【せんきん】(仙界に住む霊鳥の意。)
- 田鶴【たず】
- 千歳鳥【ちとせどり】
- 雛鶴【ひなづる】(鶴のヒナのこと。鶴の子どものこと。)
- 夜鶴【やかく】(子を想って夜鳴く鶴のこと。)
- 鶏【にわとり】
- キジ目キジ科。名の由来は「庭つ鳥(庭で飼う鳥)」から。
- 臼辺鳥【うすべどり】
- 鶏【かけ】(古名。由来は鳴き声。)
- くたかけ(古名。)
- 屡鳴き鳥【しばなきどり】
- 時告げ鳥【ときつげどり】
- 常世の長鳴き鳥【とこよのながなきどり】
- 庭つ鳥【にわつとり】
- 寝覚鳥【ねざめどり】
- 鷂【はいたか】
- タカの一種。オスはメスより小形。
- 兄鷂【このり】(ハイタカのオスのこと。)
- 鷂【はしたか】
- 白鳥【はくちょう】
- カモ目カモ科。水鳥。
- 鵠【くぐい/くくひ】(古称。)
- 鵠【こく】
- 白鳥【しらとり/しろとり】
- 白鳳
- 雲雀/告天子【ひばり】
- スズメ目ヒバリ科。
- 告天子【こうてんし】(ヒバリの異称でもあるが、「告天子」というヒバリの近縁の別の鳥も存在する。)
- 鵯/白頭鳥【ひよどり】
- スズメ目ヒヨドリ科。「ひいよひいよ」と鳴く。
- 鵯【ひえどり】
- 梟【ふくろう】
- フクロウ科の鳥。猛禽類。
- 梟【さけ】(古名。)
- 鴟梟【しきょう】(漢名。)
- 母喰い鳥【ははくいどり】(母を食べて生きながらえるという伝説から。)
- 二声鳥【ふたこえどり】(2回続けて鳴くことから。)
- 時鳥/不如帰/杜鵑/杜宇/郭公/沓手鳥/子規【ほととぎす】
- カッコウ目カッコウ科。鳴き声が「テッペンカケタカ」と聴こえるなど特徴的。
かつてはカッコウと混同されていた。
- 網鳥【あみどり】
- あやなしどり
- 菖蒲鳥【あやめどり】
- 妹背鳥【いもせどり】
- 歌い鳥【うたいどり】
- 卯月鳥【うづきどり】
- 沓手鳥【くつてどり】
- 早苗鳥【さなえどり】
- 死出の田長【しでのたおさ】
- 田長鳥【たおさどり】(田植えの時季を知らせる鳥とされてきたことから。)
- 黄昏鳥【たそがれどり】
- たまむかえどり
- 綱鳥【つなどり】
- 常詞鳥【つねことばどり】
- 時つ鳥【ときつどり】
- 無常鳥【むじょうどり】
- 百声鳥【ももこえどり】
- 夕影鳥【ゆうかげどり】
- 夜直鳥【よただどり】
- 鷦鷯【みそさざい】
- スズメ目ミソサザイ科。鳴き声の良い翼長約5cmの小さな鳥。
- 垣小鳥【かきちんない】(垣根にいる小鳥の意。)
- さざき(古名。小さい鳥を意味する。)
- 鷦鷯【しょうりょう】(ミソサザイの漢名)
- 巧鳥/巧婦【たくみどり】(巣を作るのが巧みなことから)
- 鷦鷯【みそさんざい/みぞさんざい】
- 椋鳥【むくどり】
- ムクドリ科。名前の由来は椋の木の実をよく食べるからとも、「群れる木の鳥」の略とも言われる。
- 桜鳥【さくらどり】(津軽地方での名。桜の咲く頃にやって来ることから。)
- 白頭翁【はくとうおう】(頭に白い部分があることから。)
- <関連項目>
※このページは津籠 睦月によるオリジナル和風ファンタジー小説「花咲く夜に君の名を呼ぶ」の本文ページ内に隠された、本編と関係がありそうで無さそうな細かな和風ファンタジーの雑学・豆知識や大和言葉の意味などをご紹介する「おまけコーナー」です。
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