和風ファンタジーの豆知識

月の古称・異称:其の弐(5月〜8月)

「睦月」「如月」などのように、「月」を表す言葉には、美しい古称や別名が存在します。

今回はそんな月の古称や異称を、有名なものからマイナーなものまで、いくつかご紹介していきます。

(それぞれの月の下の ・ で箇条書きになっているものがその月の古称・別称です。あいうえお順に並んでいます。古称は陰暦でのものになります。)

5月【May】|皐月【さつき】
 由来は、「早苗月」の略とする説や、「浅苗月(あさなえつき)」から来ているとする説、「小苗月(ささなえつき)」を意味するとする説、薬狩りをする月の意味で「猟月(さつつき)」から来ているとする説、雨の多いことから「雨月(さめつき)」→「セツキ」→「サツキ」になったとする説、夜が短いことから「長月」に対して「狭夜月(さよつき)」を意味するとする説など様々な説がある。
  • 悪月【あくげつ】(古代中国では縁起の悪い月とされたことから。)
  • 菖蒲月【あやめづき】
  • 雨月【うげつ】(名月が雨で隠れた状態のことも言い、俳句では秋の季語。)
  • 鶉月【うずらづき】(古代中国で芒種(二十四節気の1つ)にあたる星座を「鶉首」ということから。)
  • 梅の色月【うめのいろづき】
  • 建午月【けんごげつ】(「午の方向を向く月」の意。中国・夏の時代、5月は午の方角(南)とされていた。)
  • 早月【さつき】
  • 早苗月【さなえづき】
  • 五月雨月【さみだれづき】
  • 賤間月【しづまづき】
  • 鶉月【じゅんげつ】(古代中国で芒種(二十四節気の1つ)にあたる星座を「鶉首」ということから。)
  • 田草月【たぐさづき】
  • 橘月【たちばなづき】
  • 月見ず月/月不見月【つきみずづき】(由来は、五月雨で月が見えないことから。)
  • 梅月【ばいげつ】(梅の実がふくらむ頃であることから。)
  • 吹雪月【ふぶきづき】(卯の花が散るさまを吹雪に見立てたことから。)
  • 吹喜月【ふぶきづき】(「吹く風に喜びを感じる月」の意。)
  • 蒲月【ほげつ】(端午の節句に蒲や菖蒲で作った剣を門にかけて邪気を払う風習から。)
6月【June】|水無月【みなづき/みなつき】
 由来は、暑さで水が涸れることから「水無月(みずなしづき)」を意味するとする説や、「みなづき」の「な」に「無」が当てられているのは単に当て字で、本来この「な」は「○○の」を意味し「水の月」という意味で、「水を田に注ぎ入れる月」から来ているとする説、「水悩月(ミヅナヤミヅキ)」から来ているとする説、「雷月/神鳴月(かみなりづき)」の略とする説などがある。
  • 葵月【あおいづき】
  • 弥涼暮月【いすずくれづき】
  • 大六月【おおろくがつ】(これに対し、10月を小六月と呼ぶ。)
  • 風待月【かぜまちづき】
  • 季夏【きか】
  • 建未月【けんびげつ】
  • 鶉火【じゅんか】
  • 焦月【しょうげつ】
  • 涼暮月【すずくれづき】
  • 蝉羽月/蝉の羽月【せみのはづき】
  • 長夏【ちょうか】
  • 常夏月【とこなつづき】(常夏の花の盛んな月という意味。)
  • 遯月【とんげつ】
  • 夏越月/夏越の月【なごしのつき】
  • 鳴神月/鳴雷月【なるかみづき】
  • 松風月【まつかぜづき】
  • 林鐘【りんしょう】
7月【July】|文月【ふづき/ふつき/ふみづき】
 由来は、七月が書物の虫干しをする月であることから来ているとする説や、七夕に詩歌の文を供えることから「ふみひろげ月」「ふみひらき月」を意味するとする説や、「穂見月(ほみづき)」を意味するとする説、秋風の立つ月という意味で「風微月(ふみづき)」を意味するとする説などがある。
  • 相月【あいづき】
  • 秋初月/秋染月【あきそめづき】
  • 秋の初月【あきのはづき】(旧暦では秋の始まりの月であったことから。)
  • 秋初月【あきはつづき】(旧暦では秋の始まりの月であったことから。)
  • 夷則【いそく】
  • 女郎花月【おみなえしづき】
  • 親月【おやづき】
  • 瓜時【かじ】(瓜が熟する頃。)
  • 享菽【きょうしゅく】(菽(=豆)が採れて神にお供えする季節の意。)
  • 建申月【けんしんげつ】
  • 相月【しょうげつ】
  • 上秋【じょうしゅう】
  • 親月【しんげつ】
  • 新秋【しんしゅう】
  • 相月【そうげつ】
  • 早秋【そうしゅう】
  • 七夕月/棚機月【たなばたづき】
  • 肇秋【ちょうしゅう】
  • 七夜月【たなやづき】(七夕にちなんだ異称。)
  • 七夜月【ななよづき】(七夕にちなんだ異称。)
  • 初秋【はつあき】
  • 含月【ふくみづき】
  • 文披月【ふみひらきづき/ふみひろげづき】
  • 文招月【ふみまねきづき】
  • 穂含月【ほふみづき】
  • 穂見月【ほみづき】(稲穂のふくらみが見られる月であることから。)
  • 愛逢月/愛合月【めであいづき】(七夕にちなんだ異称。)
  • 孟秋【もうしゅう】(「孟」は「初め」を意味する。)
  • 蘭月【らんげつ】
  • 流火【りゅうか】(アンタレス(大火)の位置が正南より西の地平線に近づくことから。)
  • 涼月【りょうげつ】
  • 冷月【れいげつ】
8月【August】|葉月【はづき/はつき】
 由来は、「葉落月(はおちづき)」の略とする説や、早稲の花の月を意味する「はなづき」の略とする説、「穂発月/穂張月(ほはりづき)」を意味する、初雁の来る月であることから「初来(はつき)」を意味するとする説などがある。
  • 秋風月【あきかぜつき/あきかぜづき】
  • 秋風の月【あきかぜのつき】
  • 雁来月【かりきづき】
  • 観月【かんげつ】
  • 橘春【きっしゅん】
  • 草津月【くさつづき】
  • 迎寒【げいかん】
  • 桂月【けいげつ】(月が美しくなる季節であることから、月にあるという桂の木から。あるいは、桂花(木犀の花)の咲く月の意。)
  • 桂秋【けいしゅう】
  • 建酉月【けんゆうげつ】
  • 紅染月【こうぞめづき】
  • 木染月【こそめづき/こぞめづき】
  • 秋涼【しゅうりょう】
  • 清秋【せいしゅう】
  • 壮月【そうげつ】
  • 素月【そげつ】
  • 染色月【そめいろづき】
  • 竹春【ちくしゅん】(竹の新葉が鮮やかになるのを春に見立てて。)
  • 仲秋/中秋【ちゅうしゅう/ちゅうじゅう】
  • 月見月【つきみづき】
  • 燕去月【つばめさりづき】
  • 南呂【なんりょ】
  • 初来月【はつらいげつ】(雁がその年初めて戻る月ということから。)
  • 紅染月【べにそめづき】
  • 穂張月【ほながづき】
  • 穂張月【ほはりづき】
  • 落葉月【らくようげつ】
<関連項目へ>

※このページは津籠 睦月によるオリジナル和風ファンタジー小説「花咲く夜に君の名を呼ぶ」の本文ページ内に隠された、本編と関係がありそうで無さそうな細かな和風ファンタジーの雑学・豆知識をご紹介する「おまけコーナー」です。

ページ内の文字色の違う部分をクリックしていただくと、別のページへジャンプします。
ここでご紹介している雑学・豆知識は参考文献などを参考にして書いてはいますが、管理人はその道の専門家ではありませんので知識が不充分な場合もございます。
その辺りをご理解の上、ご覧ください。

 
inserted by FC2 system