西行法師【さいぎょうほうし】
月と桜を愛したことで知られる平安時代の歌人。
なかでも「願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」と()んだ歌は有名で、彼はこの和歌の通り、サクラの咲く満月の夜に入寂したという伝説が残っている。
桜/櫻【さくら】
バラ科サクラ属の落葉高木または低木の総称。
開花時期は3〜4月で花の色は紅、ピンク、黄、白、緑など様々ある。
日本の国花の一つ。日本では「花=サクラ」を指すことが多い。
花言葉は「精神の美」「純潔」。
語源は「コノハナサクヤヒメ」の「サクヤ」が転じたものとする説、神代の歌詞「さきにさくらん、ほきくにさくらん」から来たとする説、「サクラ」の「サク」は「咲く」から来ており「(さかん)」「(さきく)」「酒」などと語源が同じとする説、サクラの花の咲き方でその年の豊凶を占ったことから稲の霊魂(穀霊)を表す「サ」と「神坐(カミクラ)(神座)」「岩坐(イワクラ)(岩座)」などの「クラ」を合わせたもので「稲の霊魂のより集まり籠もる花」を意味するという説など、諸説ある。
桜雨【さくらあめ】
サクラの花が咲く頃に降る雨のこと。「花曇(はなぐもり)の雨」とも言う。
桜色【さくらいろ】
日本の色名。
『古今和歌集』の歌の中に登場するなど、平安時代には既に色名として定着していたとされる。
サクラの花びらのような薄い紫みのあるピンク色。
英語では「cherry bloom」あるいは「cherry blossom」。
桜貝【サクラガイ/Nitidotellina hokkaidoensis】
ニッコウガイ科の貝の一種。
サクラのような淡いピンク色の貝で、貝細工などに使われる。
殻が薄く、壊れやすい。分布は北海道南西部以南。
靭帯(じんたい)(=二枚貝の左右の殻をつないでいるニカワ質のバンド)の後ろに鈍い角がある。
古来から日本人に愛され、多くの和歌に詠まれている。
(「吹く風に花咲く波のをるたびに桜貝寄る三島江の浦」西行『山家集』など)
古称は「花貝(はながい)」。
よく似た貝に「樺桜(カバザクラ)」がある。
桜襲/桜重【さくらがさね】
合色目(あわせのいろめ)(平安時代・十二単(じゅうにひとえ)などの衣類の色の重ね方)の一つ。
表に透けるような白の生絹(すずし)、その下に紅花の赤色を重ねたもの。
主に春に用いられた配色。
(桜の花そのものの色ではなく、配色により桜の花の印象を抽象的に表現している。)
桜狩【さくらがり】
花見のために山野に出歩くこと。
あるいは観桜しながら行う鷹狩(たかがり)のこと。
櫻川【さくらがわ】
植物名。女郎花に似て、花の色は紫。
サクラ切る馬鹿、ウメ切らぬ馬鹿【さくらきるばか、うめきらぬばか】
サクラは傷口がふさがりにくく切り口から腐りやすいため成木になってからの剪定(せんてい)はできるだけ避けねばならぬのに対し、ウメは強剪定に耐えるため、込みすぎた枝を間引き、徒長枝を整理するなどの手入れを毎年行った方が良いということを表す言葉。
櫻草【さくらぐさ】
サクラソウの異名。
桜児【さくらこ】
『万葉集』巻一六に登場する、「桜」の名を持つ美少女。
二人の男が桜児を妻にしようと争ったため、嘆き悲しみ自害した。
その塚は現在の奈良県橿原市大久保町(かつては大久保村)に「娘子塚(をとめづか)」の名で残っており、江戸時代の『大和名所図会』巻五の五四にも記されている。
万葉集に載せられているのは桜児の死を悲しみ、二人の男がそれぞれの想いを桜の花に託して詠んだ歌で、以下の通り。
「春さらば挿頭にせむと我が思いし桜の花は散りにけるかも」(3786)
「妹が名に懸けたる桜はな咲かば常にや恋ひむいや年のはに」(3787)
桜衣【さくらごろも】
桜襲(さくらがさね)の衣のこと。
サクラサク
大学入試の合格で使われるフレーズ。
昭和31年に早稲田大学が合格通知で用いたのが始まりとされる。
桜前線【さくらぜんせん】
気象庁が発表するサクラの開花予想日を日本列島の上に線で結んで示した図。
桜田【さくらだ】
桜の花の多く咲いている場所のこと。
桜玉【さくらだま】
淡青色の硝子玉(がらすだま)にサクラの花などを描いたもの。
サクラチップ
肉や魚やチーズなどを(いぶ)して燻製(くんせい)にするのに使われるサクラの木のスモーク・チップ。
香り高く、臭みを取ってマイルドに仕上げられると言う。
桜茶屋【さくらぢゃや】
サクラの花が咲く頃に花見客を目当てに設けられた茶屋のこと。
桜月/櫻月【さくらづき】
陰暦3月の異名。
桜肉【さくらにく】
馬肉のこと。
桜鼠【さくらねず】
日本の色名。
桜色をくすませたような、薄い灰色がかったピンク色。グレイッシュ・ピンク。
江戸時代に流行した。
現代の染色でこの色を出すには、まず淡い紅色に染めてから檳榔樹(びんろうじゅ)の実をお歯黒鉄で媒染して薄墨色をかけるなどの手法がとられる。
桜の葉【さくらのは】
クマリン」と呼ばれる防腐(ぼうふ)効果のある成分が含まれる。
桜餅をくるむのに塩漬けの桜の葉が使われるのは、単に味・香りのためだけでなく、葉が防腐剤の代わりをするためでもある。
さくらの日
1992年に財団法人日本さくらの会が制定した日で、3月27日。
桜真風【さくらまじ】
桜が咲く頃に吹く「真風(まじ)」のこと。
桜萌黄【さくらもえぎ】
合色目のひとつ。
表に黄緑色、裏に赤を組み合わせたもの。
桜餅【さくらもち】
主に桜の花が咲く頃に食される和菓子。
塩漬(しおづ)けの桜の葉で包まれた、中に(あん)の入ったお(もち)
元々は桜の頃に江戸長命寺で売り出したもので、小麦粉の皮に餡を入れて塩漬けの桜の葉で包んで蒸篭(せいろう)で蒸したものだった。
ちなみに桜の葉には「クマリン」と呼ばれる防腐(ぼうふ)効果のある成分が含まれ、桜餅をくるむのにこの葉が使われるのは単に味・香りのためだけでなく、葉が防腐剤の代わりをするためでもある。
桜紅葉【さくらもみじ】
秋にサクラの葉が紅葉(こうよう)すること。または、その紅葉した葉のこと。
桜守【さくらもり】
京都で代々「佐野藤右衛門(さの とうえもん)」の名を継ぐ造園業で、14代目からサクラの保存に熱心になったため、いつしか「桜守」と呼ばれるようになった。
全国各地にあるサクラの名木の「後継ぎ」を作ったり、全国の珍しいサクラを訪ね歩き、その木から接木のための穂木を集める他、サクラの図譜を作る、サクラに関する美術工芸品をコレクションする、陶芸家や呉服店とコラボして新たなコレクションを作るなどの活動を行ってきた。
桜ん坊/桜桃【さくらんぼ/さくらんぼう】
西洋実桜などに実る食用のサクラの実。桜桃
ビタミン・ミネラルが豊富で、中国の古い薬物書には顔色を良くし「美人をつくる」食べ物として書かれている。
日本のサクラになる実は食用には向かず、さらに品種によってはそもそも実をつけないものもある。
左近の桜【さこんのさくら】
御所の紫宸殿の庭(南階下の東方)に吉野から取り寄せられ植えられた山桜。
桓武天皇が平安京に都を遷した際に植えさせたのが始まりと言われている。
「左近」は儀式の時に左近衛府の官人がその桜の側に列したことから言う。
別名「南殿の桜」。
紫宸殿の前庭には、この桜と対称に「右近の橘」が並んで植えられている。
ザフル・アル・カラズ
アラビア語でサクラ(の花)のこと。
 ※この「さくら用語解説辞典」は津籠(つごもり) 睦月(むつき)によるオリジナル・ファンタジー小説花咲く夜に君の名を呼ぶ(古代ファンタジー小説)
  おまけページで、サクラに関する用語を集め、解説しているものです。
   解説の内容につきましては資料(映像資料・文献・新聞記事)等を参考にしてはいますが、諸説あるものもございますし、
  管理人(←歴史の専門家ではありませんので)の理解・知識が不充分である可能性もありますのでご注意ください
 さくら用語辞典
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