Episode3:今日 is ideal day for 初デート<3>

〜キョウ ハ、ハツ デート ビヨリ〜

 “あくまでお買い物”が前提(ぜんてい)のエデンが“デート(仮)(カッコかり)”の場所に(えら)んだのは、エデンの住む月浦市(つきうらし)において最大級の売り場面積(めんせき)(ほこ)商業施設(しょうぎょうしせつ)ワオンモール月浦”だった。
 アンバーに書いてもらった経路(ルート)メモとにらめっこしながらバスを乗り()ぎたどり()いたそこは、映画館も併設(へいせつ)された大型ショッピングモールだけあって、カップルの姿(すがた)がそこかしこに見受けられた。
「けっこう人が多いですねー。あ、あの人達(ひとたち)デートでしょうか?」
「……『も』って、何?私たちはべつにデート…赤面とかじゃないでしょ?お買い物だもんっ。ただのお買い物っ赤面汗
 はしゃぐレトの横で、緊張(きんちょう)で顔も()げられないエデンは、ひとり(ごと)のような小さな声でボソボソとツッコミを入れることしかできない。
(おれ)姫君(ひめぎみ)も、(ほか)の人達から見たらデート中のカップルに見えますかね……赤面?」
「……たぶん、兄と妹くらいにしか見られないと思うけど」
 鏡張(かがみば)りの壁面(へきめん)(うつ)る自分とレトの姿を見て、エデンはこっそりため息ため息をつく。
 今は大学生くらいに大人(おとな)びて見えるレトと、まるで小学生のままのような自分の姿はまるでチグハグで、他人(ひと)から見たら変に思われるのではないかと、エデンは不安でならなかった。
「あ!姫君、ここのフロア、女性物(じょせいもの)(ふく)がたくさんありそうですよ。新しいお洋服を買われるんですよね?」
「……うん」
 エデンはぎこちない足取(あしど)りで婦人服(レディースファッション)のショップを回る。
 女性客(じょせいきゃく)の多い店内でレトの容姿(ようし)注目(ちゅうもく)(まと)で、エデンはいたたまれなさが()すばかりだった。
「……なかなかお気に()りのものが見つからないようですね。お洋服選びって(むずか)しいんですね」
「…………うん」
 言葉少(ことばすく)ななエデンにも、レトは積極的(せっきょくてき)に話しかけてくれる。だが、エデンは(みじか)返事(へんじ)をするだけで精一杯(せいいっぱい)だった。
ママとのショッピングは、いつもすっごく楽しいのに……。全然(ぜんぜん)楽しくない。なんか、足もお(なか)(いた)くなってきちゃったし……(かえ)りたい……)
 ()ずかしさに身体(からだ)不調(ふちょう)を言い出すこともできず、()きたい気持ちで歩き(つづ)けるエデンの前に、その時思わぬ(すく)いの手が()()べられた。
「おい、お前たち、こんな(ところ)で何をしているんだ?」

藤花
 
 
<Go to Next→>
  
Episode3−11011121314
 
  このページは津籠 睦月によるラブコメ・ファンタジー小説 「魔法の操獣巫女(マジカル・ビーストテイム・シャーマン)★エデン」の
シンプル・レイアウト(デコレーション・モードLV2)版です。
本文中のアンダーライン部分をクリック(orタップ)すると、別窓に用語解説が表示されます。
 
シンプル・レイアウト版は用語解説フレーム版より後に制作しているため、ストーリーが若干遅れています。
 
 
inserted by FC2 system