Episode3:今日 is ideal day for 初デート<11>

〜キョウ ハ、ハツ デート ビヨリ〜

()(あるじ)の学友の少女よ……その身を()かせ、我が元へ()たれ」
 レトが片腕(かたうで)()げ、おごそかに()げると、少女の身体(からだ)があお向けのまま、ふわり(ちゅう)に浮いた。そしてそのまま(すべ)るようにこちらへ向かって移動(いどう)してくる。エデンは目を見開(みひら)いた。
「これって、レトの能力……!?私と一緒(いっしょ)じゃなくても使えるんだ!?」
 だがその横で猫神(ねこがみ)は小さく舌打(したう)ちし、レトへ向け(さけ)ぶ。
無茶(むちゃ)をするな新人!主の介在(かいざい)無しに能力を使えば、その分寿命(じゅみょう)(けず)ことになるんだぞ!」
「…………えっ……青ざめ
 その言葉に、エデンはさっと青ざめる青ざめ
「……無茶だと?お前にそれが言えたことか!」
 レトはすぐさま言い(かえ)す。だがその顔は心なしか先ほどより青ざめ、(あせ)(つた)っているように見えた。
「そんな……っ。レト、ダメだよ……っ!青ざめ汗
 エデンはふらふらとレトに()()り、自分の力を()(あた)えようとするように必死にその(うで)をつかむ。
「……いけません、姫君(ひめぎみ)体調(たいちょう)がお悪いのに、魔法(まほう)など使っては」
「ばかっ!レトの命の方が大事(だいじ)に決まってるでしょ!?汗 さっきだって……前みたいにいっぱい魔法(まほう)使わせて、結界(けっかい)出た後に(たお)れられたらどうしようって思って……それでレトを(えら)ばなかったのに……。全部ムダになっちゃうじゃない……っ汗
「姫君……」
 思いがけない事実(じじつ)を知らされたレトは、(きょ)()かれたようにエデンの顔を()り返る。その顔には徐々(じょじょ)こらえきれない(よろこ)びの色がにじんでいった。
「……感動(かんどう)しているところ(わる)いが、サッサとここを()けるぞ。出口の場所ならもう()り出した。二人ともオレについて来い」
 いつの()にか猫神もすぐそばに来ていた。その手にはいつ取り出したのか、方位磁石(ほういじしゃく)のようなものが(にぎ)られている。
「では、姫君」
 レトは(ことわ)るヒマを(あた)えず、さっとエデンをお姫様()っこする。
「ちょ……っ、レト……っ!汗 身体(からだ)大丈夫(だいじょうぶ)なのっ!?汗
「大丈夫です。今、姫君は俺に力を(そそ)()もうと(ねん)じていらっしゃるでしょう?姫君のあたたかい御力(おちから)が、俺に流れ込んで来るのが分かりますから」
「なら、いいけど……」
「姫君、ご学友が宙に()いて我々(われわれ)について来るイメージを、頭の中に浮かべ続けていてください。俺は今から魔法のコントロールを姫君に(ゆだ)ねて、走ることに集中しますので……!」
 レトがそう言って走り出したのと、災厄の獣(カラミタス・ビースト)(ふたた)()えたのは、ほぼ同時だった。
「え……っ、ちょ……っ、そんな急に……!汗
 右に左に(ビースト)攻撃(こうげき)()けながら走るレトの(うで)の中で、エデンは先ほどレトがやってみせた“魔法”を参考(さんこう)に、必死にイメージし(つづ)ける。クラスメイトの少女は、エデンのイメージの不安定(ふあんてい)さを(あらわ)してか、ふらふら(ちゅう)上下(じょうげ)しながらも何とか三人について来る。
 だが、少女だけでなく災厄の獣(カラミタス・ビースト)も、三人と少女を追ってついて来ていた。
「……やはり()って来るか。仕方(しかた)ない」
 猫神は舌打ちして()り返り、ブレスレットをした方の手を大きく()った。

藤花
 
 
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  このページは津籠 睦月によるラブコメ・ファンタジー小説 「魔法の操獣巫女(マジカル・ビーストテイム・シャーマン)★エデン」の
シンプル・レイアウト(デコレーション・モードLV2)版です。
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シンプル・レイアウト版は用語解説フレーム版より後に制作しているため、ストーリーが若干遅れています。
 
 
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