Episode3:今日 is ideal day for 初デート<1>

〜キョウ ハ、ハツ デート ビヨリ〜

「デ……デ……デ……、デートぉぉっ!?赤面汗
「そうさ〜。お(たが)いを知り合うって言ったら、やっぱデートっしょ。(おれ)とコーデリア様も、デートして、より(きずな)を深め合ったし……」
 アズライトが(ほお)を赤らめ、にんまりとそう言った瞬間(しゅんかん)、アンバーとマイカから殺気(さっき)にも似たピリッピリッとした気配(けはい)(はな)たれる。
「……馬鹿(ばか)を言うな。アレは(だん)じてデートなどではない。CM撮影(さつえい)共演(きょうえん)しただけだろう」
「そうですよ、アズライト。そもそもアレは、たまたまあなたが南国(なんごく)のイメージに合ったトロピカル・カラーのインコだったから(えら)ばれたのであって、コーデリア様があなたに対し特別な感情(かんじょう)(いだ)いているというわけではありませんから」
(……あー……。そう言えばママ、前に南国リゾートをイメージした夏化粧品(コスメ)のCM、やってたっけ。マキシ(たけ)のワンピ()て、(うで)にルリコンゴウインコ乗せて。あのインコ、アズライトさんだったんだ……)
 エデンは自らのデート問題から目を(そむ)けるように、ぼんやりとそんなことを思い出す。
「でもさー、俺、撮影(さつえい)の後に『お礼でス』って、オシャレ〜なカフェーでこ〜んなでっかいフルーツパフェパフェとかおごってもらったしー。それって立派(りっぱ)デートじゃね〜?」
「お前……っ、何を普通(ふつう)におごってもらっているんだ!?そういう時は遠慮(えんりょ)するものだろう!」
「そうですよ!それにあなたのようなチャラチャラした男相手に飲食をおごるだなんて……。コーデリア様が周囲から“若い愛人(ツバメ)を囲うセレブ”のように見られでもしたらどうするのですか!」
「えー?俺、ツバメじゃねーし。インコだしー」
 二人の殺気に気づかないのか、アズライトはへらへら笑ってそんなことを言う。だがその表情は次の瞬間、別人のように変化していた。
「て言うかさー、“予感”がするんだよね。お嬢様(じょうさま)はレトとデートした方がいい。その方が今後のお嬢様のためになる」
 まるで預言者(よげんしゃ)神子(みこ)託宣(たくせん)のように(おごそ)かに告げられたその言葉に、アンバーとマイカの顔つきも変わる。
「……“予感”か。ならば、その方が良いのだろうな」
「そうですね。性格はともかくとして、アズライトの“予感”だけは(たよ)りになりますから」
「え?え?どういうこと……ですか?」
 エデンは話についていけず、戸惑(とまど)うばかりだった。
「アズライトの能力は“予感”。これから起こる“何か”を本能的に感じ取る能力なのですよ。“予言(よげん)”や“予知(よち)”のようにハッキリしたものでないことが難点(なんてん)なのですが、アズライトがその“予感”に基づいて言う言葉は信頼できます」
「そう……なんですか」
 思わずじっと見つめた視線の先で、アズライトは先ほどの神秘的(しんぴてき)にさえ感じられた顔がウソのように、再びへらりとした軽薄(けいはく)()みを()かべている。
「……と言うわけですので、エデンお嬢様。(さいわ)い明日は日曜日ですし、レトとデートしてみてはいかがでしょうか?」
「えぇえぇっ!?赤面汗で、でも……デート……なんて、したことないし……何すればいいのか分かんないし……汗
「べつに(かま)える必要はありませんよ。エデン様は新学期のためのお買い物、コイツはその荷物持(にもつも)ち、くらいに考えておけばよろしいのです」
「荷物持ちって……それはそれでどうなのかと……冷や汗
「お屋敷(やしき)にいたところでレトにつきまとわれることに変わりはないのですから、外へお出かけになった方が、人目がある分スキンシップが(ひか)えめになって、エデンお嬢様の精神衛生上(せいしんえいせいじょう)よろしいのでは?」
 マイカに(やさ)しい笑顔でそう言われると、その通りな気がしてきて、エデンは気が乗らないながらも流されるように首をタテに()っていた。
「そっか……。そうかもね……。ただのお買い物につき合ってもらうだけなら、アリ……かな?」

藤花
 
 
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  このページは津籠 睦月によるラブコメ・ファンタジー小説 「魔法の操獣巫女(マジカル・ビーストテイム・シャーマン)★エデン」の
シンプル・レイアウト(デコレーション・モードLV2)版です。
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シンプル・レイアウト版は用語解説フレーム版より後に制作しているため、ストーリーが若干遅れています。
 
 
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