Episode4:From today on,あなたは My Friend<1>

〜キョウ カラ、アナタ ハ ワタシ ノ ズットモ〜

 入学したての学校は、まだその景色にも(にお)いにも()れなくて、よその学校に足を踏み入れているようなが消えない。
 六年間も通い慣れた小学校とは何もかもが(ちが)い過ぎていて、今はまだ、ワクワクよりも不安の方が大きい。まして、あんな話を聞いてしまったのならなおさらだ。
(まさか、この学園が災厄の獣(カラミタス・ビースト)()まり場だなんて……冷や汗。ママ、知ってて私にココを(すす)めてきたのかな?)
 今も、知らないうちに災厄の獣(カラミタス・ビースト)に目をつけられているかも知れない――そんなことを考えて、エデンはビクビクしながら校舎(こうしゃ)へ続く道を歩いていた。
「そんな風にずっと気を()ってたんじゃ、ムダに(つか)れるだけだ」
「ぅひゃあ……っ!?」
 ふいに声をかけられ、(おどろ)いて()り向くと、そこにはここ数日でだいぶ見慣(みな)れた黒髪(くろかみ)の美少年の姿があった。
猫神(ねこがみ)……先輩(せんぱい)……?来てたんですか?バスで会わなかったから、今日はお休みかと思ってました」
「……例の奴が校内をウロついていないか、皆が登校してくる前にチェックしていたからな。残念ながらシッポはつかめなかったが」
 当然のことのように言われ、今の今まで『校内をパトロールする』などという発想(はっそう)が全く無かったエデンはあわてる汗
「す、すみませんっ!私、何も考えてなくて……汗。そういうの、必要なんですよね……?」
 だが猫神は(あき)れたようにため息をつくため息
「お前のような初心者がウロついたところで意味は無い。お前、まだ災厄の獣(カラミタス・ビースト)の気配もよく分かっていないだろう?」
「え?あ……そうかも知れな……です
 昨日ショッピングモールでクラスメイトに()いた災厄の獣の気配(けはい)これっぽっちも気づけなかったエデンは声を小さくする。
「……まぁ、経験を()めばイヤでも分かるようになるから気にするな。お前は念のため、例の女子生徒(せいと)をマークしておくことだ。一旦(いったん)気配が無くなったとは言え、再び(ねら)われる可能性もあるからな」
 言いたいことだけ言うと、猫神はエデンの返事も()たずに行ってしまった。
「あ……汗
(また、()けなかった。猫神先輩が何者なのか……)
 なぜかエデンのことをよく分かっていて、落ち込みかけると、すぐにさりげなくフォローしてくれる。ずっと前から知っている気がするのに、思い出せない。彼の正体が、気になって気になって仕方(しかた)がなかった。
災厄の獣(カラミタス・ビースト)と戦っていったら、そのうち教えてくれるのかな。私、たぶんこれからもバトルし続けなきゃいけないんだろうし……)
 (おさな)(ころ)は変身して敵を(たお)ヒロイン(あこが)れていたと言うのに、いざ本当になってみると不安だらけだ。
 エデンはそんな不安な気持ちを()き出すように大きくため息をつくとため息昇降口(しょうこうぐち)へと向かっていった。

 
<Go to Next→>
  
<Episode4−1/234567891011
 
  このページは津籠 睦月によるラブコメ・ファンタジー小説 「魔法の操獣巫女(マジカル・ビーストテイム・シャーマン)★エデン」の
シンプル・レイアウト(デコレーション・モードLV2)版です。
本文中のアンダーライン部分をクリック(orタップ)すると、別窓に用語解説が表示されます。
 
シンプル・レイアウト版は用語解説フレーム版より後に制作しているため、ストーリーが若干遅れています。
 
 
inserted by FC2 system