Episode4:From today on,あなたは My Friend<7>

〜キョウ カラ、アナタ ハ ワタシ ノ ズットモ〜

 杖を振り下ろすと同時に、エデンたちの正面に、シャインマスカットの粒のように綺麗な黄緑色に輝く球体が出現した。ボーリングの(たま)くらいの大きさのそれは、空中で一瞬だけ静止した後、大砲で発射されたかのような勢いで獣めがけて飛んでいく。
『ギャイン……ッ!!』
 直後響いた悲鳴に、エデンはビクリと肩を(ふる)わせた。
「あ……当たった……のかな?」
「そのようだな。エラいぞ、エデン。ちゃんと昨日よりはマシな技になったじゃないか。……なぜマスカット・キャンディなのかは理解に苦しむが」
 後半はエデンに聞こえないよう声を(ひそ)め、猫神は(ねぎら)うようにエデンの頭をポンと(たた)いた。
「でも……あのコ、痛そうに鳴いてた。大丈夫(だいじょうぶ)かな?」
「まだ契約してもいなければ(たお)してもいない“敵”に情けをかけるな。気を()けばこちらが危険だ」
 猫神の声は厳しく、エデンはシュンとしてしまった。
 猫神の言うことはもっともなのだが、それでもエデンは例の獣を案じるように目で探してしまう。
 獣はヨロヨロと立ち上がり、自分の近くに転がる砲弾(ほうだん)に近づいていった。
「え……?あれ……?あのコ、私の魔法(まほう)を食べてる?汗
 獣は少し(くだ)けた砲弾をぺちゃぺちゃ()めているようだった。
「……お前、キャンディ・キャノンというのは名前と形だけではなく、本当にアメでできているのか!?」
「え?何だと思ってたんですか?アメみたいな見た目をしてるだけの砲弾だと思ってたんですか?」
 エデンの答えに猫神はがくりと肩を落とす。
「お前には学習能力が無いのか!?食べられるものを具現化すれば獣の(かて)とされてしまう!前にマカロンやらマシュマロやらを食われたのを忘れたのか!?」
「えっと……冷や汗
(忘れたわけじゃないんだけど……獣を吹き飛ばせるくらいの強い魔法なら、食べられないと思ったんだもん)

 言い(わけ)をしたところで(しか)られるか(あき)れられるだけだろう――そう判断したエデンは言葉を(にご)した。
「ほら見ろ。獣の力が増してしまった」
 猫神の指差す先では、透明な獣を取り巻く氷の粒が明らかに大きくなり、まるでクリスタルガラスの飾りのようにきらきらキラキラきらきら輝いていた。
「えぇ……ど、どうしたら……汗
「とにかく攻撃だ!もう食い物にはするなよ!」
 猫神はそう言い手を差し出す。だが、エデンが次の攻撃を()り出すより早く、獣が()えた。
 獣の周りに浮いていたクリスタルのような氷の粒が勢いよく二人に(おそ)いかかってくる。

 
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  このページは津籠 睦月によるラブコメ・ファンタジー小説 「魔法の操獣巫女(マジカル・ビーストテイム・シャーマン)★エデン」の
シンプル・レイアウト(デコレーション・モードLV2)版です。
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シンプル・レイアウト版は用語解説フレーム版より後に制作しているため、ストーリーが若干遅れています。
 
 
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