Episode4:From today on,あなたは My Friend<9>

〜キョウ カラ、アナタ ハ ワタシ ノ ズットモ〜

「猫神先輩、ちょっと私、(ため)してみたいことがあります!」
 エデンはそう叫ぶと、猫神が答えるより早く杖を()り上げた。
イミテーション・オブ・ミート・ウィズ・ボーン!」
 呪文と同時に杖を思いきり振り下ろす。
 すると、杖の先に、マンガによく出てくる典型的(てんけいてき)な“骨付(ほねつ)き肉マンガ肉”が現れ、(いきお)いよく飛んで行った。
「は!?エデン、お前、何を……」
 猫神が唖然(あぜん)とする中、骨付き肉マンガ肉は獣の頭上をバビュンと飛び越し、(はる)か後方でドサリと落ちた。
『ワン!ワン!ウワン!』
 獣が、どこかはしゃいだ声を上げ、(はず)むような足取りで骨付き肉マンガ肉を追いかけていく。そのシッポは喜んだ犬のようにパタパタと左右に揺れていた。
『ワンワン
 もはや明らかな歓喜(かんき)の声を上げ、獣が肉にかぶりつく。だが……
『ギャワンッ!?』
 ガキンッという(かた)い音と同時に、獣が甲高(かんだか)い悲鳴を上げた。
『ウゥウゥウー……クゥーン……』
 先ほどまで(おそ)ろしい咆哮(ほうこう)を上げていたのと同じ獣とは思えない、(なさ)けなくも(かな)しげな鳴き声が響く。
「ゴメンね。そのお肉はニセモノなんだ」
 エデンはおそるおそる獣に近づいて行き、(あやま)る。
「でもね、あなたが私と契約(エンゲージ)してくれるなら、コレあげる
 言いながらエデンは後ろ()に持っていたモノをかざす。
 それは獣がかぶりついた骨付き肉とそっくりな……けれど今度はホカホカと湯気が上がり、おいしそうな(にお)いを(ただよ)わせた本物の骨付き肉マンガ肉だ。
『ウゥウウゥ……っ?』
 獣は悩むような素振(そぶ)りを見せる。エデンはたたみかけるように(ささや)いた。
「コレだけじゃないよ。他にも美味(おい)しいもの、いっぱい食べられるよ。ウチのゴハンは、そこらのレストランなんて目じゃないくらい美味しいんだから」
 獣はしばらく悩むように、ニセモノの骨付き肉と本物の骨付き肉を見比べていたが……やがて、あきらめたように一声鳴いた。
『…………ワン』
 そうして獣はエデンの前に頭を()れる。エデンの目が輝いた
「じゃあ、これで契約だね!私の……」
 言いかけ、エデンはフリーズする。
(『私の愛犬(ワンコ)になって』……は、マズいよね。人間型にもなれるわけだし。じゃあ、何だろう。……私の家族?……うーん、それだと何か、レトが嫉妬(しっと)しそう……)
 しばらく考えた後、エデンはふと良い答えを思いついた
「そうだ!あなた、私の“友達”になってよ!えっと……氷結の獣だから……」
 エデンの頭の中に、ブリザード吹きすさぶ氷の大地が浮かぶ。
吹雪(ふぶき)のスゴそうな土地って言えば……シベリア?シベリアって言ったら……シベリアン・ハスキーだから……)
 エデンは改めて獣に目を向け、微笑(ほほえ)む。
「ハスキー!あなたは今から、ハスキーだよ!」
 獣は「まぁ仕方(しかた)ないから、それでいい」とでも言いたげに『ワン』と鳴いた。

 
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Episode4−12345678/9/1011
 
  このページは津籠 睦月によるラブコメ・ファンタジー小説 「魔法の操獣巫女(マジカル・ビーストテイム・シャーマン)★エデン」の
シンプル・レイアウト(デコレーション・モードLV2)版です。
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シンプル・レイアウト版は用語解説フレーム版より後に制作しているため、ストーリーが若干遅れています。
 
 
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