Episode4:From today on,あなたは My Friend<2>

〜キョウ カラ、アナタ ハ ワタシ ノ ズットモ〜

 花ノ咲理学園(はなのさかりがくえん)は、まだ創立10年ほどの学校だ。中高一貫(ちゅうこういっかん)の私立校で、丘の上に建つ校舎はデザインも建物自体もエデンがこれまで通ってきた公立の小学校よりはるかに新しい
 廊下(ろうか)も学校にはよくあるビニルシートに(おお)われた(ゆか)ではなく、ツヤツヤと明るく光る木の床だ。廊下と教室を(へだ)てる壁は透明(とうめい)な素材でできた部分が多く、開放感(かいほうかん)のある(つく)りになっていた。
 エデンは、まだ顔と名前を一致されるのがやっとのクラスメイトたちに「おはよう」のあいさつをしながら教室に入り、真っ()ぐにひとつの(つくえ)へと向かう。
「おはよう、高梨(たかなし)さん」
 ほんの少し緊張(きんちょう)しながら声をかけると、それまで手元の文庫本に視線を落としていた彼女がふっと顔を上げてエデンを見た。
「おはよう鈴木さん。昨日(きのう)はありがとう」
「え……!?」
 一瞬(いっしゅん)、昨日災厄の獣(カラミタス・ビースト)から助けたことを言っているのかと思い、エデンはあせる汗
貧血(ひんけつ)(たお)れた時、鈴木さんの連れの人が助けてくれたって言ってた」
「あ、そのこと……」
 エデンはホッと胸を()でおろすため息
(そうだよね。ピ……高梨さん、ずっと気絶してたもん。結界の中で起きたことを知ってるはずがないよね)
「もう体調は大丈夫(だいじょうぶ)なの?」
「大丈夫。一応病院にも行ったけど、何ともないって」
「そうなんだ。良かった」
 それきり、会話が途切(とぎ)れてしまう。
 こちらの質問には答えてくれるが、向こうからは話を()ってくれない。エデンは何とか会話を続けようとあせる汗が、何の話題を出せば良いのかサッパリ分からなかった。
(あいかわらず無口だなー……。どうやって仲良くなったらいいんだろう。例の災厄の獣のこともあるし、なるべく高梨さんのそばにいなきゃなのに……冷や汗
 ビミョウな沈黙(ちんもく)を引きつった笑顔で誤魔化(ごまか)していると、ふいに彼女がふっと時計時計 を指差した。
「そろそろ時間。先生来るかも」
「えっ?もうそんな時間?あっ、じゃあ、また後で……汗
 何が『また後で』なのかもよく分からないまま、そんな言葉で会話を切り上げ、エデンはあわてて自分の席へと(もど)る。何だかどっと(つか)れた気がした。
(どうしよう……。そもそも私、まだちゃんと“友達”作れてない……。このまま高梨さんとも仲良くなれなかったら、私の中学生活、どうなっちゃうんだろう……冷や汗

 
<Go to Next→>
  
Episode4−1/2/34567891011
 
  このページは津籠 睦月によるラブコメ・ファンタジー小説 「魔法の操獣巫女(マジカル・ビーストテイム・シャーマン)★エデン」の
シンプル・レイアウト(デコレーション・モードLV2)版です。
本文中のアンダーライン部分をクリック(orタップ)すると、別窓に用語解説が表示されます。
 
シンプル・レイアウト版は用語解説フレーム版より後に制作しているため、ストーリーが若干遅れています。
 
 
inserted by FC2 system