Episode4:From today on,あなたは My Friend<6>

〜キョウ カラ、アナタ ハ ワタシ ノ ズットモ〜

 気がつくと、エデンは昨日と同じ結界の中にいた。
 昨日も見た、()てついた寒々しい荒野。だが、今日この結界の中に高梨桃姫(ピーチ)の姿は無い。そして……
「……もう気がついたのか。さすがだな」
「猫神先輩……」
 レトの姿は無いが、猫神がいつもの袴姿(はかますがた)(となり)にいてくれる。それだけでエデンはホッため息と緊張がほぐれるのを感じた。
「これは昨日の獣と同じヤツだな……。今日はお前のクラスメイトではなく、お前を直接(ねら)ってきたようだ。昨日のリベンジのつもりなのか、それとも……」
 猫神が難しい顔で考察を始めたその時、獣が威嚇(いかく)するように()えた。
 凍てついた風が巻き起こり、エデンたちの足元をさらに白く(こお)らせる。猫神はかばうようにエデンの前に出ると、叫んだ。
「エデン、変身だ!アイツをこのまま野放(のばな)しにしておくわけにはいかない!」
「ハイ!そうですよね。またピ……高梨さんみたいに、この学校の誰かが狙われたら困りますもんね」
 エデンは覚悟(かくご)を決め、大きく息を吸い込むと、高らかに変身呪文を(とな)えた。
キャラメル・キャラメラ・キャラメリゼ!」
 光が(はじ)、一瞬にしてエデンは魔法巫女装束(コスチューム)に身を包んでいた。空中に現れた杖を(うば)うようにつかんで(かま)え、エデンはもう片方の手を猫神へ向けて()ばす。
「猫神先輩、すみませんけど、また力を貸してもらえますか?」
 伸ばされた手を躊躇(ためら)うことなく(にぎ)り込み、猫神はうなずいた。
「ああ。いいだろう。だが昨日のようなしょぼくれた技にはするなよ。ちゃんとよく考えて、効果のありそうな攻撃をイメージするんだ」
 その言葉にエデンは「う……っ冷や汗と固まってしまう。
(効果のありそうな攻撃って……どんなのだろう?武器?鉄砲?……いっそのこと大砲とか?)
 エデンの脳裏(のうり)に昨日の猫神の攻撃が浮かぶ。
(大砲って英語で何て言ったっけ?キャノン?カノン?確かそんな感じだったかな……。キャノン……キャ……キャラメル……じゃ(やわ)らかくてダメそうだし……汗
 頭の中で「ああでもない、こうでもない」と想像をめぐらせているうちに、それまで律儀(りちぎ)に反撃を待っていた獣が()れたように再び吠えた。
 氷の(つぶ)(ふく)んだ風が(うず)を巻き、再び二人に(おそ)いかかってくる。
「早くしろ、エデン!悠長(ゆうちょう)に迷っているヒマは無いんだぞ!」
「えっと……えっとぉ……っ汗、ハイッ!行きますっ!汗
 正直まだ迷いはあったが、のん気に迷い続けていられる状況(じょうきょう)ではない。エデンはヤケクソのように杖を振り上げ、呪文を唱えた。
マスカット・キャンディ・キャノン!」

 
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  このページは津籠 睦月によるラブコメ・ファンタジー小説 「魔法の操獣巫女(マジカル・ビーストテイム・シャーマン)★エデン」の
シンプル・レイアウト(デコレーション・モードLV2)版です。
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シンプル・レイアウト版は用語解説フレーム版より後に制作しているため、ストーリーが若干遅れています。
 
 
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