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【斎宮】
【さいぐう/いつきのみや】  伊勢神宮に奉仕した皇女のこと。
天皇の代が替ると、未婚の皇女(適任者がいない場合には王女)の中から時期斎宮が卜定(ぼくじょう)され(=吉凶を占い定められ)、選ばれた皇女はまず宮城内、次いで城外の清浄な場所での潔斎期間を経て、足かけ3年目の9月下旬に伊勢へと向かった。
ちなみに女帝の代には斎宮が派遣されない。 
【酒坏】 【さかづき/さかずき】  酒を注ぐための(つき)(=器)のこと。 
【酒宴】  【さかみづき】  酒宴(しゅえん)。酒に(ひた)ること。 
【幸く在れ/幸く有れ】  【さくあれ】  東国で旅立つ人にかける(まじな)いの言葉で、旅人の無事を祈るもの。 
【騒ぐ】  【さやぐ】 

さやさやと音がすること。ざわざわと音が鳴ること。ざわめくこと。 

【小百合/さ百合】 
【さゆる】
古代東国方言でユリ、あるいは山百合のこと。 
【父】  【しし】  東国なまりで父(ちち)のこと。 
【倭文の苧環】  【しずのおだまき】

倭文(しず)を織るために用いる器具で、(つむ)いだ麻糸などを中が空洞になるように(まる)く巻きつけたもの。
歌の中では「いやし」「繰り」などの序詞として使われる。 

【倭文】  【しつ/しづ/しず/しとり/しどり】 

奈良時代以前から伝わっていた日本風の織物の一種。
あるいは、その織物を織ること。
梶木(かじのき)、麻などを原料とし、(よこいと)を赤や青に()め、(すじ)格子(こうし)を織り出して乱れ模様(もよう)に織ったもの。
織る際には倭文の苧環を使う。
しとり」は「しつおり(倭文織)」が変化したもの。
「しつはた(しずはた)」「しずぬの(倭文布)」などとも言う。 

【倭文機】  【しつはた/しずはた】 

奈良時代以前から伝わっていた日本風の織物の一種。
あるいは、その織物を織ること。
梶木(かじのき)、麻などを原料とし、(よこいと)を赤や青に()め、(すじ)格子(こうし)を織り出して乱れ模様(もよう)に織ったもの。
歌の中では倭文の模様が乱れているように「心乱れる様子を表す言葉」として使われる。 

【しつらひ/設い】
【しつらい】  室内を飾る設備・調度類。
あるいは、その場にふさわしい設備・調度品を整え配置すること。 
内装。インテリア。 
【茵/褥】  【しとね】  座ったり寝たりする時に下に敷く敷物。
【倭文織】  【しとり/しどり/しつり】 

奈良時代以前から伝わっていた日本風の織物の一種。
あるいは、その織物を織ること。
梶木(かじのき)、麻などを原料とし、多彩な色糸を細かく段に織り込んで作る。
「しとり」「しつり」は「しつおり」が変化したもの。
しつ」「しづ」「しず」あるいは「しつはた」「しつぬの」などとも言う。 

【注連縄/標縄/七五三縄】
【しめなわ】  神聖な場(神前や神事の場)に不浄なものが入り込まぬよう、侵入禁止の(しるし)として張られる縄。
(わら)を左()りに捻り、順番に3筋・5筋・7筋に藁の茎を()らして捻り、さらにその間に(しで)を下げて作る。 
【入水】  【じゅすい】  水の中に身を投げて自殺すること 
【序詞】  【じょし/じょことば】 

和歌などで、特定の語句を導き出すために述べる前置きの言葉。
枕詞(まくらことば)と同じ働きをするが、一句から成る枕詞とは違い、2〜4句にわたっている。 

【白木造り/素木造り】  【しらきづくり】 色を塗らない、木の地肌そのままの材木を使って建物を建てること。 
【真珠】 【しらたま】 真珠(しんじゅ)のこと。
昔の真珠は主にアワビからとっていた。 
【白玉/白珠】  【しらたま】  白色の珠、特に真珠のことを言う。 
【神宝】  【しんぽう/じんぽう】  神の宝物(ほうもつ)。聖なる宝。 
あるいは神前に奉納する宝物。 
【水精/水晶】  【すいしょう/すいしゃう】 

水晶のこと。
無色透明な石英(せきえい)の結晶。(不純物が混ざると紫や黒などの色が出る。) 

【直】  【すぐ】  曲がっておらず、()()ぐなこと。 
【厨子】
【ずし/づし】  物を収納するための戸棚。 
両開きの扉がついており、仏像や琴などを納めた。 
【生絹】  【すずし】  ()のままの絹糸。またはその絹糸で織った布。
灰汁(あく)で煮て柔らかくした練絹と違い、生のままの絹糸で織った生絹は硬くごわついていた。薄くて軽く、素肌にまとうと下の肌が透けて見えてしまう。
夏物の単衣(ひとえ)などに利用され、源氏物語などにも登場する。 
【砂子】 
【すなご/すなこ】
砂のこと。  
蒔絵(まきえ)などに吹きつける金箔(きんぱく)銀箔(ぎんぱく)の粉末。 
【漁る】  【すなどる】  魚をとること。漁をすること。 
【青海波】
【せいがいは】 円を魚のウロコ状に重ね、波に見立てた模様。 
【瀬織津比売】  【セオリツヒメ】 

流れの激しい川の瀬にいる女神。
(はらえ)を司る「祓戸之大神」のうちの一柱。
罪や(けが)れ、災厄を「水に流す」能力を持つ。 

【濡つ】
【そぼつ/そほつ】
濡れること。潤うこと。
びっしょりと濡れること。(表面だけでなく内部にまで浸みて濡れること。)
あるいは、雨などがしめやかに降ること。(←「そぼつ(そほつ)」の「そぼ(そほ)」は「そぼ降る(そほ降る)」の「そぼ(そほ)」と同語源との説もある。) 
奈良時代までは「ソボツ」ではなく「ソホツ」と清音だった。
【手柄】
【たかみ/たかび】
剣の(つか)のこと。
(「た」は「()」の古い呼び方、「かみ」「かび」は「()」という意味。) 
【滝】  【たぎ/たき】  滝(=高い崖から流れ落ちる水)のこと。
水が激しく流れる所、激流のこと。
昔は「タキ」ではなく「タギ」と(にご)っていた。
(タキと発音するようになったのは平安時代以降。)
語源は「激ち(タギチ)」や「滾り(タギリ)」の「タギ」と同じ。 
【激ち】  【たぎち】  激流。
激流で上がる飛沫(しぶき)
水がわき立ち、逆巻いたり、激しく流れること。
また、心がそのように激しくわき返ること。   
【滝津】  【たきつ】  滝のこと。 
【多伎都比古命】
【タギツヒコノミコト】
「出雲国風土記」楯縫郡に登場する神。
アジスキタカヒコノミコト(=オオクニヌシノカミの子神)の后・アメノミカジヒメノミコトが多久(たく)の村で生んだ神。
依代である「石神」が神名樋山の山頂の西と、道のほとりに小さなものが百余りあり、日照りの際にこのこれに雨を祈ると必ず雨が降るという。 
【滾り】  【たぎり】  水が激しくわき出ること。
水が煮え立つこと。煮え立つように激しく動くこと。
また、心がそのように激しく(たか)ぶること。  
【栲衾】  【たくぶすま】  寝具の一種。
(こうぞ)繊維(せんい)で作った白い()布団(ぶとん)。 
【蹈鞴/踏鞴】  【たたら】 

鉱石を()かす火に風を送るための大型の(ふいご)
板を(片方の)足で()んで動かす。
古代以降、中国地方などで製鉄に用いられてきた。
また、この蹈鞴を使った和鉄製錬法を「たたらぶき」と呼ぶ。

【蹈鞴吹き/踏鞴吹き】  【たたらぶき】 

古代以降、中国地方などで用いられてきた和鉄製錬法。
砂鉄・木炭を原料とし、蹈鞴(たたら)を使って製鉄を行う。 

【大刀】  【たち】 

古代の刀剣。
平安時代以降の()刀とは違い、()りのない真っ直ぐな直刀。 

【大刀拵え】  【たちごしらえ】  大刀の拵え、すなわち刀装のこと。
刀剣にほどこした装飾のこと。 
【橘】  【たちばな】  ニホンタチバナやカラタチバナの別称。
あるいは食用柑橘類(かんきつるい)(ミカン科ミカン類の常緑樹)の総称。
別名・非時香菓(ときじくのかくのこのみ) 。
【手火】
【たひ】  たいまつ。 
手に持って道などを照らすための火。 
【犢鼻褌】  【たふさぎ/たふさき】 

男性用の衣類で、肌につけて下半身を(おお)うもの。
短い股引(ももひき)や、まわし、あるいは現在で言う「越中褌(えっちゅうふんどし)」のようなもの。とくびこん。 

【珠/玉】  【たま】 

(呪術・装飾などに使う)美しい石のこと。
宝石のこと。 

【環/手纏】  【たまき】 

手に巻いたり、(ひじ)に巻いたりして身につける古代のアクセサリー。腕輪(うでわ)
(あな)をあけた玉や鈴などを(ひも)に通したもの。 

【玉櫛笥】  【たまくしげ】  櫛笥(くしげ)(櫛の匣)の美称。 
【鎮魂】  【たましずめ/たましづめ】 

魂を(しず)めること。
あるいは霊魂が肉体から離れていかないように鎮め留めるための祭祀。
宮中で天皇・皇后・皇太子などの長寿を祈って行う祭祀。鎮魂祭。
「たまふりのまつり」とも言う。 

【玉纏御太刀】
【たままきのおんたち】  伊勢神宮の神宝の一つ。式年遷宮(しきねんせんぐう)のたびに新調されている。
琥珀(こはく)瑠璃(るり)瑪瑙(めのう)、水晶など約450もの玉をはめ込んだ、きらびやかな太刀。 
唐様(からよう)の外装で、柄には鈴がついた輪金が取り付けられ、二尾の金の鮒形(ふながた)が付く。
ちなみに藤ノ木古墳から同様の太刀が出土している。
【魂依姫/玉依日売】  【タマヨリヒメ】  優れた巫女姫や巫女神に(おく)られる美称。
(たましい)のよりつく巫女という意味。 
【垂領】  【たりくび】  古墳時代の上衣で、左前の着物のような逆y字型の衿の形をしたもの。
2ヶ所を(ひも)で結んで留める。
男子の埴輪(はにわ)土偶(どぐう)に多く見られる。
古墳時代の服装にはこの垂領(たりくび)と、丸首の詰襟(つめえり)形式の盤領(あげくび)があり、男子の埴輪(はにわ)には垂領、女子の埴輪(はにわ)には盤領が多いとされているが、実際には男女が(たが)いの衣服を交換(こうかん)し、互いの服を下に着込むことにより(はな)れた相手を(しの)ぶということも行われていた。 
【足玉】  【たるたま】 十種神宝(とくさのかんだから)の一つ。
形体を具足させる呪力を持つとされる玉。 
【毯】  【たん】  五色の毛で織った敷物のこと。
けむしろ。緞通(だんつう)。 
【道返玉】  【ちがえしのたま】 十種神宝(とくさのかんだから)の一つ。
浮かれゆく魂を返し止める呪力を持つとされる玉。 
【束】  【つか】 

長さの単位で、(にぎ)った時の四本指の(はば)くらいの長さを()す。
あるいは、(たば)ねた数の単位。 

【柄】  【つか】 

刀剣(とうけん)や弓などの手で(にぎ)ってつかむ部分の名称。
語源は「つかむ」や「(つか)」と同じ。 

【柄頭】  【つかがしら】  剣の(つか)の先端部分。
【鴇/紅鶴】  【つき】  現在の朱鷺(とき)のこと。桃花鳥。 
【桃花染】  【つきそめ】  桃色(朱鷺色(ときいろ))に染めること、または染めたものを指す。
『つき』は現在の朱鷺(とき)のことで、朱鷺のような色に染めることから『つきそめ』と呼ぶ。 
【月待】  【つきまち】 

夜、月が出るのを待ち、月神に供物を供え、自分たちも飲食すること。
実際には、二十三夜待の他にも十三夜待、二十六夜待などいろいろあったが、二十三夜がとりわけ人気が高く、「月待と言えば二十三夜待」と言われるほどだったという。
ちなみに月神信仰と言っても祀られる神(仏)は何夜の月を待つのかによって異なるが、二十三夜待の信仰では勢至(せし)菩薩(ぼさつ)が祀られていた。 

【厨子】  【づし/ずし】  物を収納するための戸棚。
両開きの扉がついており、仏像や琴などを納めた。 
【槌】  【つち】 

物を打ち(たた)くための道具。ハンマー。
金属製または木製の円柱形の頭に()をさしたもの。 

【茅花】  【つばな】  (ちがや)(イネ科多年草)の花のこと。白い綿毛の生えた長い穂の形をしている。
早春はつぼみの状態で、食べることも可能。 
【橡の実】  【つるばみのみ】  どんぐりのこと。
古代では衣服を染める染料などとして利用した。
また、食用にも用いられた。
染料として使うと、濃いねずみ色になり、その色は(つるばみ)色と呼ばれた。 
【天冠】  【てんがん/てんかん】 

美しい冠、宝冠。
仏や天人がかぶる冠。
幼帝が即位の際につける冠。
能楽で女神・天女・皇妃役がかぶる冠。 

【天神地祇】  【てんしんちぎ】 

天の神と地(国土)の神。
この世のありとあらゆる神々のこと。 

【唐菓子】  【とうがし/からくだもの】  米粉や小麦粉などに甘葛(あまづら)や飴、蜂蜜などの甘いものを加え、油で揚げたり蒸したりなどして作る菓子。 
【刀子】  【とうす】 

長さ30cmに満たない刃の短い刀。短剣。古代のナイフ。
青銅製や鉄製で、携帯して食事(調理)や木簡を削るなど、日常生活の中で使われていた。
また、中には華麗な装飾を(ほどこ)したものもあり、正倉院に残されている。 

【刀装】 【とうそう】 刀の外装。
刀剣(とうけん)にほどこした装飾(そうしょく)のこと。 
【遠祖/遠つ祖】 【とおつおや/とほつおや】 

先祖のこと。遠い祖先。
日本書紀では氏の始祖より以前の祖先のことを言うことが多い。
ちなみに「遠つ神祖(かむおや)」という尊称もある。 

【非時香菓】 【ときじくのかくのこのみ/ときじくのかぐのこのみ】  の古名。
古事記や日本書紀ではタジマノモリ(田道間守/多遅摩毛理)が常世国(トコヨノクニ)から持ち帰った不老不死の果実として登場する。
(ちなみに菓という文字は、草かんむりに果実の果で『くだもの』を意味する。) 
【時の間】  【ときのま】 

(つか)()のこと。
ほんの少しの(あいだ)。しばらくの間。
「時の程(ときのほど)」とも言う。 

【十種神宝】  【とくさのかんだから】  死者をも甦らせる霊験があるとされる10種類の神宝。
ニギハヤヒノミコトが天降る際、天照大神が授け、さらにその十種神宝を使って行う鎮魂の法を伝えたとされている。
十種神宝の内訳は以下の通り。
  1. 澳津鏡【おきつかがみ】
  2. 辺津鏡【へつかがみ】
  3. 八握剣【やつかのつるぎ
  4. 生玉【いくたま】
  5. 足玉【たるたま】
  6. 道返玉【ちがえしのたま】
  7. 死返玉【まかるがえしのたま】
  8. 蛇比礼【おろちのひれ】or【へびのひれ】
  9. 蜂比礼【はちのひれ】
  10. 品物比礼【くさぐさのもののひれ】
【犢鼻褌】  【とくびこん】  男性用の衣類で、肌につけて下半身を(おお)うもの。
短い股引(ももひき)や、まわし、あるいは現在で言う「越中褌(えっちゅうふんどし)」のようなもの。たふさぎ(たふさき)。 
【常若】  【とこわか】  常に若いこと。永遠に若々しくあり続けること。 
【外つ国】  【とつくに】  外国。異国、異郷。
あるいは(はる)か遠い国。 
【帷】  【とばり】  室内(あるいは部屋の中と外)を(へだ)てるために垂れ下げた布。
部屋と部屋を仕切るためのカーテン。 
【銅拍子】  【どびょうし/どうびょうし】 

金属製の打楽器。雅楽(ががく)や民俗音楽などで用いられる。
二個で一対となる小型のシンバルのようなもので、外側の中央部に(ひも)を通し、指にはさんで打ち鳴らす。
土拍子(どびょうし)」とも言う。 

【遠祖/遠つ祖】  【とほつおや/とおつおや】  先祖のこと。遠い祖先。
日本書紀では氏の始祖より以前の祖先のことを言うことが多い。
ちなみに「遠つ神祖(かむおや)」という尊称もある。  
【豊明節会】  【とよのあかりのせちえ/とよのあかりのせちゑ】  新嘗祭(にいなめのまつり)(=その年の収穫を神に感謝する祭祀)の翌日に行われる宴会。 
新穀(=その年に収穫した穀物)を食したり、五節の舞と呼ばれる舞を楽しんだりする。 
 

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  ※この用語辞典は津籠(つごもり) 睦月(むつき)によるオリジナル・ファンタジー小説花咲く夜に君の名を呼ぶ(古代ファンタジー小説)
  物語中に登場する古代用語日本神話に関連する用語などを解説したものです。
  用語の意味・語源などにつきましては諸説あるものもございますのでご注意ください
 
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