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物語中に登場する「運命の赤い糸」ならぬ「運命の赤い縄=紅線」は中国の昔の物語・奇談を集めた『太平広記』の中の『定婚店』という逸話に登場するものです。
その物語ではある男が旅の途中の宿場町で、赤い縄の入った大きな袋を持ち月光の下で冥界の書物を読んでいる不思議な老人と出会います。
それまで縁談に失敗し続けてきた男は、その老人が縁結びの神であることを知り、目下の縁談が上手くいくかどうかを尋ねますが、老人は彼の足首には既に別の相手と結ばれた赤い縄があるため縁談が失敗に終わること、そしてその縄の相手がその宿場町で野菜売りの老婆が育てている三歳の醜い幼女であることを告げます。
怒った男は召使に命じ、幼女を殺させようとします。召使は幼女の眉間に刀を一突きして逃げましたが、幼女は死なず、一命をとりとめました。
それから十四年後、未だ縁談のまとまらない男は、ある日上司の娘を結婚相手として紹介されます。
その娘は17歳の美しい娘でしたが、眉間に傷があり、それは幼い頃に野菜売りをしていた乳母に背負われていたところを暴漢に襲われ、傷つけられてできたということでした。
男は娘に十四年前の罪を告白し、二人は結ばれました。
この逸話によりその宿場町は「定婚店」と改名され、さらには縁をとりもつ者や仲人のことを「月下老」と呼ぶようになったということです。
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