昔は、物音がうるさいと小言を言われただけでも、 発作的に消えたいと思ったものだよ。
自分の存在を消したいと。
音を立てることは、自分が生活している ――生きていることの証のような気がして。
それを否定されるのは、自分の存在自体を 否定されているような気がしてしまったから。
でも、どこの誰であろうと、 他人の存在を全否定なんてできないことを 今の自分は知っているんだ。
生まれて、今日まで生きてきたことを、 誰も無しにはできないから。