ファンタジーな豆知識

ヨーロッパの説話集・昔話・おとぎ話・童話の系譜

ヨーロッパには、グリム童話をはじめ、素敵な「昔話」や「寓話」が数多くあります。

今回はそんなヨーロッパの「物語」に関する書物を、古いものから順にまとめていきたいと思います。

(この記事は制作中です。物語やその説明は今後増えていく可能性があります。また「古い順」をどの時点で判断するのか(書かれた年か出版年かetc…)も検討中です。)

ルカノール伯爵【El conde Lucanor】/ドン・ファン・マヌエル(1330年)
 
カスティーリャ王フェルナンド3世の孫によって著された寓話集です。
 
第32話は「裸の王様」の原著となっています。
 
デカメロン(十日物語)/ジョヴァンニ・ボッカチオ (1348〜1353年刊行)
 
ペストから逃れるためにフィレンツェの郊外に集まった10人の男女が、それぞれ10話ずつの物語を語るという形式で、1つの枠物語+100話で構成されています。
 
子ども向けの“童話”ではなく、大人向けの読み物ですが、このデカメロンの影響を受けて著された「ペンタメローネ」に「シンデレラ」や「眠れる森の美女」の原形となる物語が収録されるなど、ヨーロッパの童話にとって重大な意味を持つ作品でもあります。
 
デカメロンはギリシャ語の「10日」に由来し、10日かけて100の話を語るという形になっています。
(物語を語っているのは10日ですが、実際には週に2日休みの日を設けているため、実際にトータルでかかった日数は14日間になります。)
 
エロティックな要素やコメディ要素が数多く含まれ、古典ではなく(書かれた当時から見て)“現代の”物語であることが特徴です。
(それまでの物語は古典を題材にしたものが多かったのです。)
 
ダンテの『神曲』に対し『人曲』と呼ばれることもあります。 
 
カンタベリー物語【The Cantebury Tales】/ジェフリー・チョーサー (1327〜1400年(未完))
 
14世紀のイングランドの物語集です。
 
巡礼のために集まった人々がそれぞれ物語を語っていくという、複数の物語と1つの枠物語という構成をとっています。
 
エプタメロン(七日物語)/マルグリッド・ド・ナヴァル
 
フランス・ルネサンス期にデカメロンを参考に書かれた物語集ですが、著者の死により未完のまま終わっています。
 
ペンタメローネ(五日物語)【Pentamerone】/ジャンバティスタ・バジーレ(筆名:ジャン・アレッシオ・アッパトゥーティス) (1634〜1636年)
 
デカメロンの形式を参考に、1つの枠物語と「10話の物語×5日分」で構成された民話集です。
 
ナポリ軍人で詩人でもあったバジーレ(バジレ)がナポリ地方に昔から伝わる説話を蒐集し、ナポリ方言で書かれています。
 
ヨーロッパにおける童話集のさきがけと言われ、ペロー童話やグリム童話の原形と考えられる物語が多数採録されています。
(「灰かぶり猫(cenerentola)」→「シンデレラ」、「日と月とターリア」→「眠れる森の美女」など)
 
マザー・グースの物語(シャルル・ペローの童話)/シャルル・ペロー (1697年)
 
フランスの詩人で童話作家のシャルル・ペローにより出版された高雅な文体のおとぎ話集です。
 
「赤ずきん」「青ひげ」「眠り姫」「長ぐつをはいた猫」「シンデレラ」などの物語が収録されています。
 
シャルル・ペローは童話作家として活躍するだけでなく、ヴェルサイユ宮殿にかつて存在した人工洞窟や生垣の迷路のアイディアを出したりもしています。
(関連記事>ヴェルサイユ宮殿にあった意外な施設・設備
 
子どもと家庭のための童話(グリム童話集)/ヤーコブ・グリム、ヴィルヘルム・グリム (1812年初版発行〜1857年第七版出版)
 
ヤーコプ・グリムとヴィルヘルム・グリムの兄弟が、語り伝えられてきた昔話や文献から編んだ童話集です。

原題は『グリム兄弟によって収集された子どもと家庭の昔話』。

1812年のクリスマスに初版第一巻が刊行され、以降半世紀にわたり版を改めるたびに、加筆訂正および新たに話を加える・逆に話を削除するなどの変更を加えられてきました。

生前最後に出されたのは1857年の第七版で、200話の昔話と10話の「子どもの聖者伝」が収められました。

話が新たに加えられたり、逆に削除された理由は、兄弟が昔話を収集し続けていたために新たな話が採用されていったからと、性にまつわる話・残酷だと非難された話が削除されていったためです。

また、初版に対して「語り口に飾り気がない」などの批判があったため、情景描写・心理描写が詳細になり、さらに会話表現が多くなるなどの加筆訂正がなされました。

さらに第二版では末弟で画家のルートヴィヒによる扉絵が付けられ、以降さまざまな画家により挿絵が付けられるようになりました。

アンデルセン童話/ハンス・アンデルセン
 
デンマークの童話作家アンデルセンにより出版された童話集です。
 
「裸の王様」「みにくいアヒルの子」「人魚姫」などが収録されています。
 
ハウフの童話/ウィルヘルム=ハウフ (1876年)
 
ドイツの童話作家ハウフにより書かれた童話です。
 
25歳という短い生涯の間に『隊商』『アレッサンドリアの長老とそのどれいたち(アレッサンドリア物語)』『シュペッサルトの森の宿屋』の3巻の童話の他、多くの作品を遺しています。
 
ハウフが男爵家の家庭教師をしていた際に授業のかたわら子どもたちに話して聞かせて物語を元に『隊商』が書かれたと言われています。
 
 

※このページは津籠 睦月によるオリジナル・ファンタジー小説「夢の降る島」の第1話「夢見の島の眠れる女神」夢見の島の眠れる女神(小説ロゴ)の本文ページ内に隠された、本編と関係がありそうで無さそうな細かなファンタジー雑学・豆知識をご紹介する「おまけコーナー」です。

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ここでご紹介している雑学・豆知識は参考文献などを参考にして書いてはいますが、管理人はその道の専門家ではありませんので知識が不充分な場合もございます。
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