動物の鳴き声を何と表現するかは国によって大きく異なります。
例えば犬の鳴き声が日本では「ワンワン」なのに英語圏では「バウワウ」なのは有名かと思います。
ですがこの鳴き声、たとえ同じ国であっても時代や地方によっても変遷していくものなのです。
例えばサルの鳴き声。
現在では「キー」だとか「キーキー」だとか「ウッキー」などと表現されることが多いかと思いますが、常陸国風土記ではこのサルの鳴き声が「ココ」と表現されているのです。
常陸国風土記・久慈郡の記述によると、かつて存在していた「古々の邑」という古い地名の由来を、かつてその土地の人がサルの鳴き声を「ココ」と言ったからだとあります。
(ちなみに関連性があるかどうかは分かりませんが「呱々」は乳飲み子の泣き声としても使われる言葉です。)
ニワトリの鳴き声も、現在では「コケコッコー」が一般的ですが、かつては「カケロー」「カケロ」「カケコー」「カケ」などでした。
この泣き声によりニワトリ自体も「鶏」と呼ばれていたのですが、この古いニワトリの鳴き声、実は現在でも使われることがあります。
二十年に一度行われる伊勢神宮の式年遷宮――その中でもクライマックスを飾るのが、ご神体を新しい社殿へとうつす「遷御」の儀なのですが、ここで神職が発するのが「鶏鳴三声」と呼ばれるニワトリの鳴き声を真似た声なのです。
しかもこの鶏鳴三声、なぜか内宮と外宮で違いがあり、内宮は「カケコー、カケコー、カケコー」、外宮は「カケロー、カケロー、カケロー」となっています。
猫の鳴き声の最古の記述は、実は源氏物語になります。
その鳴き声は「ねうねう」。
何となく現代の「ニャウニャウ」に近いような気もしますね。