源氏物語の巻名にして登場人物の名。
(源氏物語五十四帖(巻)中の第11帖。)
光源氏の妻の一人だが、寵愛を他の女君たちと競い合うというよりも彼の良き話し相手のような役割を果たす。
また、光源氏の長男・夕霧や養女・玉蔓の母親代わりを務めたり、夕霧の子の一人を孫として養育した。
中年期以降の光源氏が住まいとした六条院では、春夏秋冬の四季に見立てた四つの町のうち、
東北に位置する「夏」の町の主となった。
(「春」の町には紫の上とその養女となった明石の姫君、「秋」の町には秋好中宮、
「冬」の町には明石君が住んだ。)
ちなみに「花散里」の花とは、物語中に「橘の香をなつかしみ ほととぎす花散る里をたづねてぞとふ」
という歌があることから「橘の花」のことと推測される。
ちなみに万葉集には「橘の花散る里のほととぎす片恋しつつ鳴く日しそ多き」と、
物語中の歌と同様に「橘」「花散る里」「ほととぎす」がセットで読み込まれた歌が残っている。