ラウラは夢を見ていた。
まだ
つながれた手と手、伝わってくるほのかなぬくもりだけが世界の全てのような気がしていた、遠い日の夢。
これから自分たちがどこへ向かおうとしているのか、ラウラは知っていた。
「
まだ7才のフィグがこちらを
小さなカバンと服のポケットに思いつく
それはラウラが6才になってすぐの、ある夜の夢。
「わっ……、フィグっ、見て見てっ。空気が
幼いラウラの指さす先には、
「ああ、それは雨だよ。森の魔力で雨の落ちる速度がものすごくゆっくりになってるんだ。だから
「すごいすごい!こんなのよそじゃ見たことないよ!」
「これだけじゃない。もっとすごいものがいっぱいあるはずだぞ。この森では百年に一度しか咲かないはずの花が十日で咲くし、セミは七日を過ぎても生き続ける。水面にできた
それは
「俺、この森に来たらぜったいに行きたいと思ってた場所が一つあるんだ」
「え?どこどこ?どんな場所?」
「行ってからのお楽しみ。でもラウラもぜったい気に入るよ」
フィグはポケットから
「夢より
現れたのは星くずのようなラメが散りばめられた
「コンパスよ、“星めぐりの丘”の場所を示せ!」
フィグが
「行こう。こっちだ」
フィグに手を引かれるまま歩き出し、ラウラはその時
「フィグはすごいね。何でもできて」
フィグは
「ラウラだってできるさ。この島では夢見る力さえあれば何でもできるんだからな」
「夢見る力……」
「ラウラにもあるだろう?夢が」
問われてラウラはしばし
(夢なんて、まだよく分かんない。でも、もし願いが
「フィグは?フィグの夢は何?」
つないだ手に力を
「丘に
その
コンパスの針が
「着いた。きっとここだ。星めぐりの丘」
二人は無意識のうちに早足になっていた。最後には走るようにして丘の
「うわぁ……」
ラウラは
丘の
「ラウラ、座るか
「そっか……。だから“星めぐりの丘”なんだね」
ラウラは感心したように
丘の上から見る星空は、北極星を中心に、まるでディスクオルゴールのようにゆったりと、しかし通常ならばあり
そして星がめぐるたびに、天空から
「俺の夢は何かって、さっき
めぐる星の
「俺さ、この島の
「えっ!?」
ラウラはフィグが何を言ったのか、一瞬理解できなかった。フィグが口にしたのはそれほどに
「この島には“
「でも、外の世界って、この島みたいに
「それは分からないさ。ただ単に向こうの人間が夢の
ラウラには何も言えなかった。ただ、目を
「いつか俺はこの島の外に出るんだ。ギリシャ神話やケルトの
(……やだよ。私を置いて知らない世界に行っちゃやだ。置いていかないで。ずっといっしょにいたいのに……)
ラウラの不安に
「だから、その時はいっしょに来いよな、ラウラ」
「え……?」
「『え?』じゃないだろ。俺を一人ぼっちにする気かよ。いっしょに来るよな?な?」
「行く!」
ラウラは何も考えずに
「行く!ぜったい行く!だからいっしょに連れてって!」
「ああ、もちろん。だからお前もその時までに、もっと
(そっか。この先もフィグといっしょにいるためには、今のままの私じゃダメなんだ。もっと力がないと。フィグみたいに何でもできるようにならないと。そうじゃなかったら、きっと置いていかれちゃう……)
見上げた先には、
ラウラはネグリジェの
結局あの後、星の
「
思い出し、思わずくすりと
「どうしたの、ラウラ。朝からご
同室のキルシェが、今洗顔をしてきたばかりという
「うん、ちょっと
そこまで言って、ラウラは自分で自分の言葉に
「ん?どうしたの?ラウラ」
「……そっか。忘れてる思い出。美しいだけじゃない、思い入れの
「え?あんた何言ってんの?」
「キルシェちゃん!私、ちょっと
ラウラはがばっと起き上がり、
「は!?あんた、朝食は!?顔もまだ洗ってないでしょ!?」
「ダッシュで
「夢より
「ジェットエンジンって、あんたソレ、前に失敗してホウキ
「だから今回は
銀色に輝くホウキにまたがったラウラは、
エンジンの
「ラウラめ……。この