蛇足な解説ページ    
     
雨粒の形
物語の中では、雨の降るスピードが極度に遅くなっているということで、空気抵抗のことは考慮に入れず雨粒の形を球体としてイメージして描いているのですが、実際に空から降ってくる雨を瞬間的に捉えると、その形は空気抵抗によって押しつぶされ、まるであんぱんのような形をしている…というようなことを小学生くらいの頃、お天気の森田さんの本で読んだ覚えがあります(※かなりうろ覚えな記憶ですので、あてにはしないでください)。
星の音
作者はオルゴールが好きなので、観光地のオルゴール館などにも行ったりするのですが、そこで大きなディスクオルゴールを見るたびに思っていたことがあります。
北極星を中心にした北の夜空をオルゴールのディスクに見立てて、一つ一つの星の位置にオルゴールのピン(突起)を立てたなら、どんな音楽が奏でられるのだろうと…。
そんなわけで、物語の中でも夜空とディスクオルゴールのイメージが重ね合わせられているのです。
星がめぐるたびに音が(こぼ)れるという描写も、ディスクオルゴールのイメージからなのですが、あまりにそのまま過ぎてもつまらないという思いから、音はオルゴールそのものではありません。
星の音の選択(チョイス)については、どこか宇宙的な感じのする神秘的な音が良いなぁ…と思い、水琴窟の音に決めました。
 
当初は火箸(ひばし)風鈴(ふうりん)(通常であれば刀匠しか使用を許されない『玉鋼(たまはがね)』を使って作られた『明珍火箸』を風鈴として使用したもの。高く澄んだ音と深い残響音が特徴)の音か水琴窟(水面に水滴が落ちる音が甕の中で反響し増幅されたもので、どこか金属的にも感じられる不思議な音がする)の音かで悩んだのですが、場面的に涼やかなイメージを持たせたいという思いがあり、『水』の字の入っている水琴窟の方を選びました。
ちなみにどちらの音も、作者がテレビでたまたま聴いて感動し、そのまま脳に刻み込んだ音です。
どちらにせよあまり一般になじみがない音だとは思うので、読者様の反応が少し心配なところではあるのですが…。
島の“外”に憧れる少年 
作者もかつては異世界に(あこが)れる子どもでした(子どもではないけれど今も憧れていると言えば憧れているわけですが)
しかも、子どもらしく本気で異世界に憧れながらも、当時から既に妙なところで現実主義者(リアリスト)(?)だったりしたため、「もしも本当に異世界に行くことになるとしたら、手ぶらで行ったら絶対困るから、あったら便利な道具を最低限そろえておこう」と、思いつく限りの便利グッズをリュック(遠足用)に詰め、いざという時に持ち出せるように押入れの中に隠していたりしました(今思うと災害時の持ち出し用にも使えそうなので無駄ではない気もしますが…)
 
まぁ、そんな感じで昔からたびたび異世界を夢想したりしていたわけですが、そんな時、ふと思うことがありました。
『こちらの世界』も、異世界の人間から見たら充分『異世界』なわけで…、そんな『こちらの世界』に異世界の人間もまた憧れを抱いたりはしないだろうかと。
『こちらの世界』は『こちらの人間』からしたら平凡でありきたりで、辛いことも多かったりして、時々本気で異世界へ逃げ出したいと思ったりもするそんな世界だったりするかも知れないわけですが、こちらの人間が当たり前だと思っているそんな物事に、本気で憧れている異世界の人間がいたとしたら…。
 
そんな妄想が、幻想に溢れた島に暮らしながら島の外に憧れるフィグという、一風変わった人間の思考を形成していったわけです。
作者の個人的な意見ですが、フィグのように本気でこちらの世界に憧れる人間を描いていると、何だかこちらの世界も捨てたものではない気がしてきて気持ちが少々ほっこりしたりします。
夢の中の記憶再現度 
あらゆる意味での『夢』がモチーフとなるこの物語を書こうと思ってから、作者は時々、自分が夜見た夢を翌朝(あるいは翌日の夜)日記に書き留めるということをやってみたのですが、そうやって夜見た夢を思い出してみると、その細部(ディテール)の細かさに驚かされることが何度もありました。
しかもそうやって書き留めた夢を分析するうちに、夢の中に出てくる景色が、実は自分が見たことのある景色、既存の記憶の組み合わせでできていることに気づかされたりもしました。
普段は脳の奥底に眠っていて意識することすら無い記憶の中の景色が、夢の中では圧倒的な詳細さ(ディテール)と臨場感をもって再現されるという不思議に感動すら覚え、そんな感動が物語中のラウラの台詞にもつながっていたりします。
ラウラの言葉遣い
既にご理解くださっている読者様に対しては本当に蛇足な説明になるので申し訳ないのですが、もしかしたら誤解される方もいらっしゃるかも知れませんので一応書いておきますと、第5章前半ではラウラがまだ6才前後の子どもであるため、意図的に幼い言葉遣いをさせています。
カギカッコの中のひらがな比率が増えたり、かなり独特な言い回し(空気が水玉模様etc(エトセトラ)…)をしているのも同じ理由からです。
多少読みづらいかも知れませんが、雰囲気重視な作者の個人的趣味で書いていますので、その辺りはすみません。  
    
 
 ※このページは津籠(つごもり) 睦月(むつき)によるオリジナル・ファンタジー小説ファンタジー小説「ユメノフルシマ」第1話夢見の島の眠れる女神
  ストーリーや用語に関する豆知識やこぼれ話・制作秘話などを蛇足に解説したものです。
  解説の内容につきましては資料等を参考にしてはいますが、諸説あるものもございますし、
  管理人の理解・知識が不充分である可能性もありますのでご注意ください。
inserted by FC2 system