丑の刻(現在の午前2時頃)に人を呪うため神社を参詣すること。
丑の刻詣で(うしのときもうで)、丑参りとも言い、江戸時代に多く見られた。
頭に五徳を逆さにのせて火を点した3本のロウソクを刺し、白い衣の胸に鏡をつるし、高下駄をはき、藁人形などを神社の神木に釘でうちつける。
そうすると7日目に釘で打った部分が痛んで相手が死ぬと信じられていた。
呪いをかけた本人もただでは済まず、鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』では「はかなき女の嫉妬より起りて人を失ひ身をうしなふ」とあり、『平家物語・剣の巻』では貴船大明神への祈願の果てに鬼と化した宇治の橋姫が武人・渡辺綱に片腕を斬り落とされるという物語が描かれている。
本来は呪いではなく、神木に願いをこめて釘を打つ「祈り釘」の慣習や、丑の刻に神仏に参詣すると願い事が必ず叶うという純粋な信仰だった。
丑の刻参りの扮装については、『平家物語・剣の巻』で宇治の橋姫が髪を5つに巻いて松脂で固め、顔に朱をさし、身体に丹を塗り、頭に鉄輪をかぶってその3つの脚に松明を結わえ、口にも両端に火のともった松明をくわえた姿で描かれており、これがルーツとも言われている。