宇治の橋姫(うじのはしひめ)
宇治の地に伝わる伝説の女性。
その性質は伝えられる物語により様々に異なっているが、嫉妬深い女性として描かれていることが多い。
また、宇治にいる愛人を「宇治の橋姫」になぞらえることもあり、古今集の詠み人知らずの歌では「さむしろに衣かたしき今宵もや我を待つらむ宇治の橋姫」と詠われている。
(「愛らしい」を意味する古語「愛し」から愛人のことを「愛し姫」と言い、そのことから「橋姫」に通じたとする説がある。)
『平家物語・剣の巻』では嵯峨天皇の時代、嫉妬に狂った女が相手の女を呪い殺そうと貴船大明神にお参りし、そこで受けたお告げの通り、髪を五つの束に分けて巻き松脂で固めて五つの角をつくり、顔と身体を赤く塗り、頭につけた鉄輪の三本の脚に3つの松明、さらに両端に火の点った松明を口にくわえるという異様な姿で21日間、宇治川に身を沈め、生きたまま鬼となったのが宇治の橋姫であると語られている。
宇治の橋姫はその後、京中の男女を食い殺したが、源頼光の配下・渡辺綱により名刀「髭切」で片腕を斬り落とされた。
ちなみにこの時の宇治の橋姫の異様な扮装が丑の刻参りの装束のルーツとも言われている。
このミニ辞典は、津籠睦月による
オリジナル・ファンタジー小説
の物語中に出てくるファンタジーな用語を解説するためのものです。複数の意味や説を持つ用語の場合、分かりやすくするため、物語の中で使われている意味や説のみに絞って取り上げている場合があります。ご注意ください。
※小画面(フレーム)表示用のページのため、PCなどの大きな画面で見るとレイアウトが崩れます。