月日を数えることを忘れて久しいこの頃。
薄暮の空に爪跡のような細い月が光っているのを見つけた。
道の上には小さな銀色の破片のようなものが
オレンジ色の街路灯の光を反射して、
まるでオレンジの光の粒が落ちているかのように、きらめいていた。
西の空にかかる
オレンジの夕日を浴びれば、
アスファルトに映る影は
わずかに青みがかっている。
風は冷たく、青灰色の寒空は丸く、果てもなく大きく見えた。
壮大な、夕空。
暗い色の雲は低空にわだかまり、天辺にはぽっかりと何も無かった。
公園の傍で見た、枯れ枝にかかる白い月も美しかった。
まるで細工物のように細やかに千々に重なった
黒々した裸の枝を透かして、ほのかに輝いていた。
まるでモノクロのステンドグラスのように。
久しぶりに犬の散歩に出掛けたら、
黄金に燃える夕空を見た。
自分までその光に染められてしまいそうな、圧倒的に迫ってくる残照。
空というのがこんなにも、
人の心を動かせるのだということを、忘れていた気がした。