夜、さわさわという音に気づいて窓を開けた。
見渡す景色の、そのすべての場所から聞こえてくる、
夜の空気を包み込む静かな音。
それは、雨が雪の上に降る音。
さくさく、さわさわ
雪が雨粒に弾け溶けてゆく音。
やさしい音だった。
朝、目が覚めて外を見ても、まだ雪が降っていた。
雪って、なんて静かに降るんだろう。
雨のようにぱらぱら音がしない。
ただ無音で降りてくるだけ。
空の上から。
帰りには雪はほとんど止んでいた。
しかし空気の冷たさは変わらない。
駅に着いてもしばらく電車は来ず、
あたたかい缶ココアで指を温めながら電車を待った。