コトバのラクガキ

【コトバのラクガキArchives】

 
 
 TOPもくじコトバの風景スケッチ > このページ

今年も当たり前のように、花が咲く。

春になる。
空気の色は変わらないのに
そこかしこで花が咲く。
世界が、幸せで満たされてくる。
花は何故(あやま)たず、春を知ることができるのだろう。

四月の風は、

あたたかい日差しに誤魔化されがちだけど、
四月の風はわりとつめたい。
つめたくて、ぬるい。
柔らかなその風がうなじを撫でて、
青空を背に桜の花弁(はなびら)がひろひろと宙を舞う。
何もかもどうでも良くなり、
心を宙に解き放ちたくなる、春の真ん中、桜の終わり。

気づかぬうちに、進む春。

いつの間にか、土手に花が咲いていた。
まるで振袖の柄のように、色とりどりに隙間無く。
今日まで気がつかなかった。

花曇りの季節

天高く、日は白くかげる。
 花ぐもり。
 川は歪んだ古鏡のように、
 いびつに、だが色鮮やかに川辺の桜並木を映す。
 また、この季節がめぐってくる。
 あたたかく、やわらかく、心を溶かし包む
 ぬるま湯のような季節が。

 

  

 
  
このページはポエム・ブログ「コトバのラクガキ」のバックアップ用アーカイブ・ページです。
 
 オリジナル小説サイト「言ノ葉ノ森」のサイト内に格納されています。

inserted by FC2 system