ヒトの作る社会なのに、
どうしてヒトに優しくないのだろう、
そう思っていた。
でも、それはきっと、
自分がどれだけ他人に優しくできるのかと同じことなのだ。
個人が他人にやさしくなれればなれるだけ、
社会は人に対してやさしくなる。
そういうことなのだ。
どんなに優れた力を持っていたとしても、
認められるとは限らない。
どんなに血のにじむような努力をしたところで、
報われるとは限らない。
世の中に「絶対」なんて有り得ない。
正当な評価が下される保証もない。
それは、世の中が人の心で動いているからだ。
人の心が世の中を
不確実で、不安定で、不条理なものにする。
ほんの
誰かの人生を決定的に狂わせたりする。
そしてほとんどの人間は、そのことに気づいてすらいない。
悲劇も、奇跡も、人の心に依存する。
だからこそ世の中は哀しい。