コトバのラクガキ

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ご近所・空想旅行

幼い頃、橋の欄干(らんかん)にもたれかかって
川の流れを見ているのが好きだった。

しばらくの間 見つめていると
動いているのが
川の水なのか、
それとも自分の立つ橋の方なのか
分からなくなる瞬間がある

その錯覚(さっかく)を利用して、
自分が(なが)めているものが
ただの川の流れでなく
船のスクリューから吐き出される
水流なのだと想像すれば、
自分の立っている場所は
ただの橋の上ではなく
どこかを旅する船の後部デッキになる。

そうして ほんの(つか)()ここではないどこかを
旅している気分に(ひた)れば
ありふれた景色も
非日常な旅の風景に変わる気がして

 

  

 
  
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