もうだいぶ紅葉も進んできた。
公園の木々はまるで虹のグラデーションのように
上の方から朱く色づいてきている。
緑から、濃く深い朱へと。
あの川辺の風景が極楽模様に染まるのも、もうすぐだ。
夕焼けの中のススキ野原が好きだ。
ススキの穂が夕日を透かして
まるでススキのひとつひとつに
仕事に疲れた帰り道
夜の空気の中に、
ふと甘い香りが混じっているのに気づいた。
一年ぶりに嗅ぐキンモクセイの香り。
姿かたちは見えないのに
確かに香る秋の匂い。
何だか久しく会えなかった知人に
ふと会えたような懐かしさを感じて
ほんのり嬉しくなった。
世界は生きている 息をしている
夏の間には無かった虫の音が
今は夜に満ちていて
公園の木の葉の色も
少しずつだけど変わってきている
世界は毎日 少しずつ変わっている
人がそれに気づかなくても。
目を向けることすらなくても。