いつも通り、いつもの道を、
大好きな黒いくつで歩いていく。
微妙なリズムをとる足と腕とで、
夏になりかけの風に触れてる。
風が指先に、かすかな空気の震えを伝える。
まるで琴の弦をはじいているようだ。
髪を風になぶられるままにして、
目をあげて空を見る。
世界がどれだけ人工物にまみれようと、
ずっと空だけは本物であって欲しい。
夏を越して秋になれば、空の色は
自分がいくら絵の具を混ぜ合わせても決してできない、
深みのあるきれいな青になる。
せめてそれまでは毎日、この道を通い続けよう。