長い階段をのぼって四階へ行くと、
そこはまだがらんとしていた。
吐く息が凍るほど寒い。
窓の外には さびし気なはだかの木々の向こう、
家々がオモチャのように見えた。
廊下にいた時は気づかなかったが、
今日も空は青く澄み、
銀に光る雲がグレーの おなかをみせて浮かんでいた。
まるで天界のながめのよう……
遠くの青い山々に、小さくみえる町の屋根。
うちも四階建てだったら
こんな風に遠くまでみわたせるんだろうか。
ピアノの音にのせて やわらかい歌声。
卒業式の歌の練習。
もう音楽の授業もできなくなるんだね。