あの頃は、人間や世界のマイナス面ばかりがよく見え過ぎていて、 プラスの部分が全く見えずにいた。
誰かに教えてもらいたくて、たまらなかった。
人間の中に在るはずの、何かしらの美しさを。 この報われないことだらけの世界にも在るはずの一片の救いを。
つまりは世界や人間の醜さに震えながら、 それでも何処かに、美しさや救いが在ると、信じていたんだ。
たぶん、そのちっぽけな希望が、 ここまで自分を生かしてくれていた。
そしてそれは“正解”だったと、今なら思うんだ。