第六章 幸有 の花(3)
「あの、大丈夫 ですか?お怪我 はされていませんか?」
花夜は道にうずくまる農夫達に歩 み寄り、声を掛けた。農夫達は花夜と、大刀から姿を変えた俺の姿を見て顔色を変え、地に頭を擦 りつけるようにして平伏 した。
「大刀に宿る神様とその巫女様!お助け下さり、真にありがとうございます!何とお礼を申し上げたら良いのか……」
農夫達のその態度に、花夜はむしろ恐縮 したようにあわてて口を開く。
「いえ、当然のことをしたまでですから。そのように畏 まらないで下さい」
「そのようなわけには参りません!もしあなた様方がお助け下さらなければ、我々はあのまま殺されていました!」
「そうです。是非 お礼をさせて下さい。我ら、田舎暮らしの農夫の身にて、大 したおもてなしはできませんが、せめて一夜の宿と御食 くらいは……」
『御食』という言葉に、花夜の眉 がぴくりと動いた。
「い、いえいえ。そのような……。私達は何も見返りを求めてあなた方を助けたわけではありませんし……」
口では遠慮 しながらも、その目はどこか期待するように輝きを帯 びていた。仮にも元は一国の姫であり、神と契 りを結んだ巫女としてあるまじき態度ではあるのだが、無理もないことだ。ここしばらくの間、口にしてきたものと言えば神使 の蛇達の集めてきた野草 や茸 ばかりだったのだから。
「花夜、どうせ今夜の宿の当ても無いのだ。ここは素直に礼を受けよう」
俺が促 すと、花夜は顔をほころばせてうなずいた。
花夜は道にうずくまる農夫達に
「大刀に宿る神様とその巫女様!お助け下さり、真にありがとうございます!何とお礼を申し上げたら良いのか……」
農夫達のその態度に、花夜はむしろ
「いえ、当然のことをしたまでですから。そのように
「そのようなわけには参りません!もしあなた様方がお助け下さらなければ、我々はあのまま殺されていました!」
「そうです。
『御食』という言葉に、花夜の
「い、いえいえ。そのような……。私達は何も見返りを求めてあなた方を助けたわけではありませんし……」
口では
「花夜、どうせ今夜の宿の当ても無いのだ。ここは素直に礼を受けよう」
俺が
※このページは津籠 睦月によるオリジナル和風ファンタジー小説「花咲く夜に君の名を呼ぶ」のモバイル版本文ページです。
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