いまや、ファンタジーやゲームの世界で魔法使いによる“魔法”は欠かせないものとなっています。
ですが、中世ヨーロッパにおける“
キリスト教が強大な力を持っていた中世ヨーロッパにおいて、魔女は忌むべきものとして恐れられていました。
今回はそんな中世ヨーロッパ(特に中世フランス)で語られてきた魔女の姿を、簡単にご紹介します。
- 魔法の代価は魂
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“魔女狩り”という暗い歴史が物語っているように、“教会”の権威が今よりもずっと強かった中世ヨーロッパにおいて、魔女や魔法使いは忌むべき存在とされていました。
なぜなら魔女や魔法使いは“悪魔と契約を交わした者”であり、その“魔法”は「自らの魂を悪魔に売り渡した代わりに得たもの」とされていたからです。
その力は呪われたものとされ、人や動植物、空や大地に災いをもたらすと考えられていました。
当時の人々は、疫病や、飢饉、大自然の猛威などの災難を、そういった魔法や悪魔の仕業、あるいは神の怒りによるものと信じていたのです。
- 魔法道具(マジック・アイテム)
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魔女や魔法使いの使う“魔法の小道具”には以下のようなものがあるとされています。
- フクロウやコウモリの血を詰めた小瓶
- 絞首刑で死んだ男の手の干物(→宝探しに使う)
- 死者・行方不明者を映し出す鏡
- 乙女がクリスマス週間の一夜紡いだ亜麻の布で作ったシャツ(→着ると負傷することがない)
- 魔法の煙を起こすための香料・動植物
- 煙の魔法
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魔法にはよく“煙”が利用されたと言われています。
この煙は天に昇って様々な星に作用し、人間の運命を変えたり天変地異をもたらすと考えられていました。
どの星に働きかけるかにより、材料や煙の出し方も違っていたと言います。
そして、これらの煙を出す際には、必ずアヘンその他の麻薬植物を一緒に入れていたそうです。
中世の人々はこれらの植物が見せる“幻覚”を魔法と信じていたのです。
ちなみに伝わっている煙の材料には以下のようなものがあります。- 太陽に働きかける…サフラン、
竜涎香 、麝香 、丁字香 、ワシの脳みそ、ニワトリの血 - 月に働きかける…カエルの頭に白ヒナゲシ・ショウノウを詰めたもの、雄牛の目、ガチョウの血
- 火星に働きかける…様々な植物(詳しくは不明)、硫黄、黒猫の血、カラスの脳みそ
- 嵐を起こす…カメレオンの肝臓
- 地震を起こす…イカの墨、バラ、アロエ
- 太陽に働きかける…サフラン、
- 魔王の宴
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魔女や魔法使いは、年に一度、あるいは数回、魔王 の催す夜の宴に集まっていると考えられていました。
彼らは奇妙な姿をした動物や箒にまたがり、空を飛んで集合し、“夜明けの一番鳥(ニワトリ)”が鳴くまで宴を繰り広げたと言われています。
さらには神に見放された亡者たちも墓場を抜け出しこれに参加したと言われています。
- 魔女の真実
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このように忌むべき邪悪なものとして語られてきた「魔女」ですが、本来はキリスト教以前の古い信仰を持ち続け、薬草等の知識を豊富に持つ「賢者」だったと言われています。
キリスト教が広まったことにより、古い信仰が弾圧され、その信仰を保ち続ける者は邪悪なものとみなされ迫害されるようになっていったのです。
中世には魔女狩りという忌むべき行為が行われ、数多くの男女が魔女裁判にかけられましたが、この中には裕福な暮らしをしていた者など、住民の嫉妬により魔女と疑われ拷問にかけられた者もいたということです。
※このページは津籠 睦月によるオリジナル・ファンタジー小説「夢の降る島」の第1話「夢見の島の眠れる女神」の本文ページ内に隠された、本編と関係がありそうで無さそうな細かなファンタジー雑学・豆知識をご紹介する「おまけコーナー」です。
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