ファンタジーな豆知識

実在するファンタジーなお城・2

ユッセ城(フランス)
 
フランス最長の川・ロワール川の支流・アンドレ川のほとりの高台に、シノンの森を背に建つこの城は、フランスの作家シャルル=ペローが「眠れる森の美女」のモデルにしたお城です。
 
現在は屋根裏に「眠れる森の美女」の名場面が登場人物たちのロウ人形で再現されていたり、かつての貴族の生活を知ることのできる家具や衣裳・タペストリーなどが展示されています。
 
また、テラスからは美しい幾何学模様のフランス式庭園や、ロワール地方の田園風景を望むことができます。
 
ノイシュヴァンシュタイン城(ドイツ)
 
ロマンティック街道のフィナーレを飾るこの城は、ディズニーランドの「シンデレラ城」のモデルとして有名です。
 
その名は「新しい白鳥の城」を意味し、先端の尖ったたくさんの塔と白鳥のように白い壁は、物語に登場する中世のお城の理想形そのものです。
 
しかしこのお城、造られたのは比較的新しく、日本で言えば幕末〜明治の頃なのです。
にも関わらずこの城が中世ドイツのたたずまいを見せているのは、この城を造らせた王が中世騎士物語に心酔し「メルヘン王」と呼ばれたバイエルンの国王・ルートヴィッヒ2世だったからです。
 
お城のデザインは建築家ではなく宮廷劇場の舞台美術家が担当し、軍事などの実用性より芸術性と居住する際の快適性を求めて造られました。
 
この城は外観だけでなく、内装もまた優美かつユニークで、寝室の洗面台には白鳥の形の蛇口が取り付けられ、部屋の壁にはワーグナーのオペラの名場面が描かれ、いつかワーグナーを招くことを夢見て「歌合戦の間」というものまで造られていました。
さらには城内に、天井から鍾乳石の垂れ下がる人工洞窟まで造ってしまいました。
これはワーグナーのオペラ「タンホイザー」に登場する「ヴィーナスの洞窟」で、ルートヴィッヒ2世はこうして自分の造った城の中で好きな物語の世界に浸っていたのです。
 
ルートヴィッヒ2世はその後も次々に自分の趣味による城の建設を命じますが、そのことにより財政は悪化し、ついには政府による偽の診断書で心の病ということにされて幽閉されてしまいました。その翌日、彼は主治医とともに散歩に出かけた湖で謎の死を遂げてしまいます。
ルートヴィッヒ2世がその生涯で建設に携わった城は全部で3つ。そのうち彼の存命中に完成したのは、2番目に建設を命じたフランス・ヴェルサイユの「小トリアノン宮殿」を模倣した「リンダーホーフ城」だけでした。

 <【ファンタジーなお城・1】セゴビア城(白雪姫)/ザバブルク城(いばら姫)へ>

<参考資料>


※このページは津籠 睦月によるオリジナル・ファンタジー小説「夢の降る島」の第1話「夢見の島の眠れる女神」夢見の島の眠れる女神(小説ロゴ)の本文ページ内に隠された、本編と関係がありそうで無さそうな細かなファンタジー雑学・豆知識をご紹介する「おまけコーナー」です。

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ここでご紹介している雑学・豆知識は参考文献などを参考にして書いてはいますが、管理人はその道の専門家ではありませんので知識が不充分な場合もございます。
その辺りをご理解の上、ご覧ください。

 
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