〜マホウショウジョジャナクテ、マホウミコナノ!〜
自分の
むしろ、そのちょっと
いや、エデンの場合、分かりやすく
「ねぇパパ、イギリスにはママのパパとママ――つまり、エデンのおじいちゃまとおばあちゃまがいるんだよね?」
小3当時のエデンの
「そうだね、いるよ。今もお元気でいらっしゃると思うよ」
「……じゃあ、何で会えないの?エデン、おじいちゃまとおばあちゃまに会ったことも、メールやお手紙したこともない。それにイギリスにだって一度も行ったことない。そんなのヘンだって、みんなに言われた。エデンがウソをついてるんじゃないかって……」
エデンの母親は英国人、父親は日本人。つまりエデンは日英ハーフだ。
それを知ると
だがエデンもまたそんなクラスメイトたちと同じく、イギリスのことなどほとんど知らなかった。
エデンの母親は自分の
「ごめんなー、エデン。パパとママはカケオチ同然に結ばれたから、ママのパパとママはもちろん、パパのパパとママにも、うかつに会いに行くことはできないんだ」
そう言いながら、慈恩は
「じゃあ、エデンはこれからもイギリスに行くことはできないの?」
「……そうだなー。いろいろな問題が解決したら、いつかは行けるかもなー。あ……でも、その時にはこのコたちをどうするかな……。置いてけぼりにすると
そう言って
「そっかぁ……ミドリもボタンもコンちゃんもパン君もビビちゃんも、飛行機には乗せていけないもんねぇ……。コタちゃんとななちゃんだけならイヌとネコでペットってことで連れて行けるかも知れないけど……」
「ははは。ふたりだけヒイキはできないなー。そうなると、パパは家にお
「えー?それはダメだよ!それにななちゃんが行かないんだったら、エデンも行かない!だってエデンはななちゃんのゴハン係だもん!一日だって
その時「ゴハン」という単語に
猫はエデンの前まで来て「なぁー」と鳴いた後、すぐに慈恩の
「あぁー!ななちゃん!ななちゃんのゴハン係はパパじゃなくてエデンだって、いつも言ってるでしょ !? おねだりするならパパじゃなくてエデンじゃなきゃダメなんだからね!」
「ははは。これはゴハンの
「もうっ!何でななちゃんも他のみんなも、パパが一番なの !? いっつもみんなをひとり
「ははは。
そこで、エデンは夢から
エデンはぼんやりとベッドの上に起き上がり、夢に出てきた
(……あれは、4年前かな……。あの
(あの頃はフシギに思ってなかったけど、パパってば
時計を見ると、
エデンはベッドから下り、制服に
(
幼いエデンにとって
(ななちゃん……。今もどこかで生きてるよね……?いつか、また会えるよね?会いたいよ……ななちゃん……)
いつもの
その先に広がっていたのは、夢に出て来たこじんまりした庭ではなく、広々としたバルコニー、そしてその向こうに広がる美しいだった。
そう、今のエデンが
「……夢と現実のギャップが
思わず口に出してつぶやき、エデンは部屋を出る。
「アラ、エデン。おはようございますでス」
「……おはよう、ママ」
エデンの母・コーデリア。日本での名は、イギリスにいた頃の元の名はコーデリア・クロウリー。彼女こそがエデンの生活を
「ママ、その
「今日は午前中から新商品の
コーデリアも数年前――慈恩がいた頃までは、このような派手な姿ではなかった。長い髪を一つに
それが、慈恩がいなくなり『これからはワタシがこの家の
会社は同業者たちから『一体どんな魔法を使ったんだ?』と
とは言えこの
そして、この屋敷に
「おはようございます、エデン様」
「
「すぐに朝食をお持ちします!お嬢様!」
ダイニング・ルームのあちこちから次々に声をかけてきたのは、
「お……おはよう、ございます……。アンバーさん、マイカさん、アズライトさん……」
彼らはこの
(……いつも思うんだけど、何なの?このは……。自分の家じゃないみたいで、落ち
父がいなくなった後、次々と若い男を
「コーデリア様、朝の紅茶 をお持ちいたしました」
「コーデリア様、今朝はどの新聞からお読みになりますか?」
「コーデリア様!新しいお花を
コーデリアに
他人の
「じゃあ、行ってくるね、ママ」
「あァ、エデン。チョット
「え?何?」
「エデンが
「変わったこと……?ううん。べつに何もないけど」
「そうでスか。それならバ、ヨイのでス」
何か引っかかるような母の
エデンの
エデンはそんなバス乗り場の一つでバスを
(今日こそは、もっと
父親の
だが小学生の
(この学校、知ってる子、少ないんだもん。しっかり友達作りしておかなきゃ、これからの
失敗続きの2日間を思い出してほんのり
(そう言えば、このバスに同じクラスの子、乗ってたりしないのかな?
気づけばエデンは車内へ上がるステップの
「きゃ…………っ 」
(……ヤバいっ、
一気に血の
だが、長いようで短い
「…………え?」
「……
おそるおそる
エデンはすぐには
(え……っと……
「わっ、うわわわわわわっ…… あ、あ、ありがと……う、ご、ございます……っ! 」
だがエデンはその
「……ったく、
「え……?」
(この人、私のこと知ってる……?何だかこの人を見てると、
思うがままに質問を
エデンはしかたなく、少し
「ねぇねぇ、あのヒト、なんかカッコよくない?クールな美少年ってカンジ。あんなヒト、うちのガッコにいたっけ?」
「あの
(2年生……。じゃあ、一年
さっきから
(話しかけたい……なぁ。でも、何だか
エデンがそんな
(……え?何?今、なんか
何が起きたのか分からないまま、何となく車内を見回してみる。すると、例の少年が先ほどまでとは打って変わった
「……とうとう来たか。まぁ、これだけ
少年は口の中でぶつぶつとつぶやきながらエデンの横まで
「え……!? あの……っ 」
「お前、今からしばらく
「えぇ……!? な、な、何で……っ」
言いかけ、だがその言葉を
少年は
世界が
このページは津籠 睦月によるオリジナル・ファンタジー小説の本文ページです。
構成要素は恋愛(ラブコメ)・青春・魔法・アクションなどです。
個人の趣味による創作物のため、全章無料でお読みいただけますが、
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