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魔法巫女エデン
 
 
 
 
 
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Episode3:今日 is ideal day for 初デート

〜キョウ ハ、ハツ デート ビヨリ〜

 

藤花

「なーモモキチ、機嫌(きげん)(なお)せよ。アレだろ?モモキチにも学校で作ってるキャラとかあるから家での様子(ようす)ベラベラしゃべられるとイメージ(くず)れる、みたいなヤツだろ?悪かったって。ホラ、にーちゃん、もうほとんど社会人みたいなモノだからさぁ、そういう学生ノリからは(とお)ざかっちまってさー」
「……今でも充分(じゅうぶん)男子学生ノリなクセに」
 少女は義兄(あに)()り向きもせず、()()てるようにつぶやく。
「ホラホラ、お目当(めあ)てのファンシーグッズ屋さんだぞー。今日はカワイイ義妹(いもうと)入学祝(にゅうがくいわ)いってことでフンパツしてやるからな。バッグでもアクセでも何でもオネダリしていいぞ!だからホラっ、機嫌(きげん)直せって」
 男はそう言い、愛らしいペンギンの絵があしらわれた雑貨屋(ざっかや)看板(かんばん)を指さす。少女はムスッとしたまま店頭(てんとう)の商品を物色(ぶっしょく)しだした。
(……失敗(しっぱい)した。市内のお店で同級生に遭遇(そうぐう)する可能性くらい、考えれば分かるのに。よりによって義兄(にい)ちゃんと一緒(いっしょ)のところを見られるなんて)
 彼女(かのじょ)は元々、自分のプライベートを他人(ひと)に見られたくない性質(たち)の人間だった。今までも、(した)しい友達ですら滅多(めった)に家に(まね)いたことはない。まして単なるクラスメイト相手には何重にも予防線を張り、プライバシーに立ち入られないようにしてきた。
 それには彼女の、ちょっぴり特殊(とくしゅ)家庭環境(かていかんきょう)影響(えいきょう)しているのだが……。
「これ」
 少女は短い一言とともに義兄(あに)の目の前にマスコットを()き出す。
 ボールチェーンがついてバッグの()()などに取り付けられるタイプのマスコットで、彼女が小学生の(ころ)よく見ていた教育番組に登場するキャラクターだった。
「そんなのでいいのかよ?もっと高価(たか)いのねだっていいんだぜ」
「いい。ほとんど仕事も無いような“名ばかり芸能人(げいのうじん)”に高価(こうか)なモノなんてねだれない。メグちゃんも、その(ふと)(ぱら)ぶってやたらと他人(ひと)におごりたがるクセ、直したら?そのうち(いた)い目、見ると思う」
「……うわー……。ソレ、地味(じみ)(きず)つく(あい)()わらずモモキチは辛口(からくち)だなぁ」
 (へこ)みました、とアピールするかのように大ゲサに頭を(かか)えてみせる男に、少女はチクリと(むね)の痛みを(おぼ)える。
(……また、かわいくない言い(かた)になった。説教(せっきょう)なんてしたって、ウザがられるだけかも知れないのに)
 表情は変えないまま無言(むごん)になってしまった少女に、男はふっと口元をゆるませる。
「いや、ウソウソ。家族(かぞく)としての愛のムチだってちゃんと分かってるって。昔っから俺にそういうキビシイこと言ってくれんの、モモキチだけだもんなー」
 その声には本心がにじんでいて、彼が本気でうれしく思っているのだということを雄弁(ゆうべん)物語(ものがた)っていた。だが、だからこそ余計(よけい)に、少女は複雑(ふくざつ)な気持ちになる。
(“家族”……か。どうせお義兄(にい)ちゃんにとって私は、口うるさいオカン(てき)ポジションでしかないんだろうけど)
「つーかさ、マジでコレがいいのか?コレ、カワイイか?」
 少女の手からマスコットを受け取り、しげしげと(なが)めながら、男が首をかしげる。
「……カワイイ。ヘンに()てない(ところ)がイイの」
 男はそれでも納得(なっとく)がいかないように何度も首をかしげていたが「じゃあ会計(かいけい)してくるな」と言ってレジへ向かっていった。
 少女はいつものように店内を(なが)めながら義兄(あに)を待つ。一緒(いっしょ)にレジに(なら)んで店員に「ご兄妹(きょうだい)ですか?」あるいは「美男美女(びなんびじょ)でお似合(にあ)いですね」などの余計(よけい)一言(ひとこと)をかけられるのが、彼女は何よりキライなのだ。
『……(ウマ)ソウダ』
 ふと、そんな声が聞こえた気がして、彼女は背筋(せすじ)をゾクッとさせて()り返る。
 だが店内は女性客ばかりで、先ほど聞こえた不気味(ぶきみ)な声の持ち(ぬし)がいるようには見えない。
(……(つか)れてるのかな、私。……でも、さっきのゾクッとする感じ、(おぼ)えがある。(たし)か、学校の中を見て回っていた時……)
 少女が(みずか)らの記憶(きおく)をたどろうとしたその時、(ふたた)び“声”が聞こえた。しかも今度は、耳元でささやくように。
(ウマ)ソウダ。(ワカ)(ムスメ)ノ生命力……。(アワ)(コイ)ノ不安ニ()レル、ソノ心ノ(ヨドミ)……。オ前ヲ()ラエバ、キット今ヨリ強クナレル……』
 彼女はハッとして声のした方を()り返ろうとする……が、できなかった。強い目眩(めまい)とともに、急速(きゅうそく)意識(いしき)が失われていく。
(……お義兄(にい)……ちゃん……)
 こんな時に一番(たよ)りにならないであろう人物(じんぶつ)と知りながら、それでも少女は義兄(あに)に助けを求めようとした。だが、もはや彼女には(くちびる)も、指先一本ですら、動かすことができなかった。
 何が起きているのかも分からないまま、少女は引きずり込まれていく。災厄の獣(カラミタス・ビースト)のテリトリーの中へと……。

藤花

高梨(たかなし)さんが災厄の獣(カラミタス・ビースト)に狙われてるって、何で?高梨さんにも私みたいな力があるってこと?」
 時間はわずかに(さかのぼ)って、エデンが少女を見送った少し後。少女とその義兄(あに)の後ろを、見失わないギリギリの距離(きょり)尾行(びこう)しながらエデンが問う。
「……いや。あの(むすめ)にそんな力は感じない」
「じゃあ、何で?」
災厄の獣(カラミタス・ビースト)(ねら)うのは、姫君(ひめぎみ)のような御力(おちから)を持った人間ばかりではありません。姫君よりはずっとレベルが落ちますが、生命力そのものも、(ビースト)を生き(なが)らえさせる“(かて)”となります。中でも特に、心にある(しゅ)(よどみ)(かか)えた人間なら、他の人間よりもずっと(ビースト)空腹(くうふく)()たし、力を高めてくれるのです」
「お前のような人間を(ねら)うのは、収穫(しゅうかく)も大きいが(かえ)()ちに()うリスクも高いからな。(よう)するに、あの娘を(ねら)っているのはローリスク・ローリターンを求めるタイプ(ビースト)、ということだ」
「……心の(よどみ)って……。高梨さん、(たし)かに無口(むくち)だけど、そんな悪いコには見えなかったけどなぁ……」
 エデンの納得(なっとく)いかなげなつぶやきに、レトが苦笑(くしょう)して口を(ひら)く。
「姫君。心の(よどみ)というのは何も、(みにく)い感情のカタマリとは(かぎ)らないのですよ。たとえば他人(ひと)に言えない片想(かたおも)を心の内に(かか)えて一人(なや)んでいるとか、()えない心の(きず)だとか……そういうどこにも行き場のない感情が心の中で渦巻(うずま)いているのが“心の(よどみ)”なのです」
「……だからこそ、最悪なんだがな。あの学園が(やつ)らの()まり()になっているのは。思春期(ししゅんき)男女(だんじょ)など、奴らにとって格好(かっこう)標的(ターゲット)だ」
「え……っ!?それって、花ノ咲理学園(はなのさかりがくえん)のこと……?」
 聞き()てならないことを耳にし、エデンが猫神(ねこがみ)()(ただ)そうとしたその時――レトが(けわ)しい表情でエデンの(かた)をつかんできた。
(やつ)が動きました!結界が(ひら)きます!姫君のご学友(がくゆう)(みずか)らの領域(テリトリー)に引き()むつもりです!」
「えっ!?ダ、ダメだよ、そんなの……っ!高梨さんを助けないと!」
「分かっている。奴の結界に()()むぞ。いいな?エデン」
「うん!」
 猫神がレトが手を()いていない方の(かた)に手を乗せてくる。
 いつものくらりとした目眩(めまい)(おそ)ってきたが、今のエデンはそれを(おそ)れることもなく、素直(すなお)に受け入れた。

藤花

 意識(いしき)(うしな)ったのはほんの一瞬(いっしゅん)のことで、エデンはふらつきながらも自分の足で()に立っていた。
「気を失う時間がだいぶ(みじか)くなったな。力が()がっている証拠(しょうこ)だ」
「ここ、結界(けっかい)の中……?高梨(たかなし)さんは……?」
「あそこで気を失っています。……災厄の獣(カラミタス・ビースト)一緒(いっしょ)です」
 レトの(ゆび)さす先には、クラスメイトの少女が力無(ちからな)く地に横たわっていた。
 そしてそのそばに、キラキラ(かがや)く光の(つぶ)のようなもの輪郭(りんかく)をふちどられた透明(とうめい)(けもの)姿(すがた)がある。
 獣はこちらを向き、威嚇(いかく)の声を上げているようだった。
「光の……(つぶ)?レトの時と(ちが)う」
「いや、あれは(こま)かな(こおり)(つぶ)が光を反射(はんしゃ)して光って見えているだけだ。(やつ)能力(のうりょく)はおそらく“凍結(とうけつ)”か何かなのだろう」
「マズいですね。我々(われわれ)はともかく、姫君(ひめぎみ)のご学友(がくゆう)がヤツの能力に()()まれた場合、低体温症(ていたいおんしょう)により生命(せいめい)危険(きけん)(およ)可能性(かのうせい)があります」
「そう言えば、ココ(さむ)い……。ところどころ、地面(じめん)に雪や氷があるし」
 その結界(けっかい)周囲(しゅうい)鳥居(とりい)にも()たストーンサークルに(かこ)まれているのはいつもと変わらないが、その中は高い山の頂上付近(ちょうじょうふきん)を思わせる岩と石ばかりのゴツゴツした地形(ちけい)がずっと(つづ)き、あちらこちらに雪が()もったり氷が()ったりしていた。
「姫君も早く変身(へんしん)なさってください。姫君の御力(おちから)形成(けいせい)された魔法巫女(まほうみこ)衣装(いしょう)なら、少しは寒さを軽減(けいげん)できるはずです」
 見ると、レトと猫神(ねこがみ)(すで)に例の和洋折衷(わようせっちゅう)武官(ぶかん)束帯(そくたい)姿(すがた)と、神職風(しんしょくふう)浅葱色(あさぎいろ)袴姿(はかますがた)に変わっている。エデンもあわてて変身呪文(へんしんじゅもん)(とな)えた。
「キャラメル・キャラメラ・キャラメリゼ……!」
 光に(つつ)まれ一瞬(いっしゅん)で変身を()えると、もはや()れた様子(ようす)空中(くうちゅう)(あらわ)れた(ロッド)片手(かたて)でキャッチする。
「お()たせ……って、え?二人とも、何してるの?」
 ()り向くと、レトと猫神はなぜか必死に(たが)いの目を(たが)いの手でふさぎ合っていた。
「姫君!ご安心ください!姫君のお()()え……あっ、いえ、“変身”は決して(ほか)の男の目には()れさせませんので!」
「バカを言うな!オレはガキくさい下着姿(したぎすがた)などに興味(きょうみ)はない!むしろ危険(きけん)なのは(あるじ)の変身をそんな不埒(ふらち)な目で見ているお前の方だろう!」
 二人のやりとりに、エデンはテレビでよく見る魔法少女(まほうしょうじょ)の変身シーンを思い出して一気(いっき)に顔を赤らめた。
「え?え!?あの……、変身の時に一瞬(いっしゅん)だけ身体(からだ)(かる)くなるように感じるのって……私の服が消えてるからなの!?」
 エデンの動揺(どうよう)した声に、猫神がレトの手で目をふさがれたまま(さけ)ぶ。
「安心しろ!消えるのは常人(じょうじん)肉眼(にくがん)では(とら)えられないようなほんの一瞬(いっしゅん)だけだ!獣並(けものな)みの動体視力(どうたいしりょく)でもなければ見えないし、見えたとしても光の羽根(はね)毛皮(けがわ)であちこち(おお)われているからハッキリとは見えない!」
「でも、(ねん)には(ねん)()れないと、ですから!チラッとでも見られてしまうのは(ゆる)せませんから!」
「……って言うか、そういうの、早く(おし)えてよ!って言うか、だったら変身中は向こう向いててよ、二人とも!」
 ()じらいと本気の(いか)りの()()じった声に、二人もさすがに首をすくめて謝罪(しゃざい)する。それでもエデンはプリプリしたまま、ヤケクソのように声を上げた。
「もうッ!さっさと高梨(たかなし)さん救出(きゅうしゅつ)して、ココを出るよ!」
「そうですね。では姫君(ひめぎみ)、お手を……」
仕方(しかた)がないな。力を()してやろう」
 エデンの声に、レトと猫神が同時(どうじ)(こた)え、同時に手を()し出す。
 見事(みごと)カブった声に、二人は顔を見合(みあ)わせ、(するど)い目でにらみ合った。
「姫君の愛犬(イヌ)(おれ)だけだ。ノラ(ねこ)()()んでいてもらおうか」
「お前のような経験(けいけん)(あさ)契約の獣(エンゲージド・ビースト)に何ができる?お前こそ(だま)って見ていろ」
 ()し出された二つの手に、エデンはただオロオロする。
「姫君!貴女(あなた)契約の獣(エンゲージド・ビースト)は俺です!俺の能力(のうりょく)をお使いください!」
「どっちを(えら)ぶんだ?エデン。お前の使いたい方を選べ」
 二人のイケメン顔を近づけてつめ()られ、エデンのオロオロ度合(どあい)はさらに()した
(えっと……えっと……っ。能力、(えら)ぶ……んだよね?レトは“念動(ねんどう)”で、猫神先輩(せんぱい)(たし)か……“具現化(ぐげんか)”)
 オロオロしたまま結界(けっかい)の中を目だけでぐるりと見渡(みわた)した(あと)、エデンはぎゅっと猫神の手を(にぎ)った。
「猫神先輩!お(ねが)いします!」
 横でレトがあからさまにショックを受け、ふらりとよろめく。
「なぜですか、姫君っ!貴女(あなた)契約の獣(エンゲージド・ビースト)は、この俺ですよ!?」
「え……っ。だ、だって……。この結界、()げて攻撃(こうげき)できそうなもの、石コロくらいしかないし……猫神先輩の能力の方が相手(あいて)にダメージ(あた)えられそうだし……」
「そんな……っ。石コロ攻撃(こうげき)だって“チリも()もれば何とやら”ですよっ!」
「あきらめろ。お前の能力は使(つか)勝手(がって)(わる)いんだ」
 レトにトドメの一言(ひとこと)(はな)ち、猫神はエデンの手を強く(にぎ)(かえ)す。
(わざ)の出し(かた)()かっているな?(やつ)攻撃(こうげき)してくる前に、こちらから先制(せんせい)するぞ!」
「う、うん!」
エデンはレトの方をチラチラ気にしながらも、覚悟を決めたようにうなずいた。
(この前のパパの(わざ)みたいな感じでいけばいいんだよね?……“おもち”つながりはさすがにダサいから……)
 エデンは猫神(ねこがみ)とつないでいない方の手で(つえ)を振り上げ、災厄の獣(カラミタス・ビースト)目がけて(いきお)いよく()()ろした。
マカロン・マシュマロ・マスクメロン!
 直後、杖の先端(せんたん)から色とりどりのフルーツのようなビビッド・カラーマカロンと、パステル・カラーのマシュマロ、そして(こま)かな迷路のような網目(あみめ)模様(もよう)マスクメロンがキラキラとプリズムの光をまき()らしながら次々と飛び出していく。それはそのまま矢のようなスピードで災厄の獣(カラミタス・ビースト)へ向かっていった。
 災厄の獣(カラミタス・ビースト)(むか)()とうとするように行動を起こす。低くしていた首を上げ、(するど)咆哮(ほうこう)を上げた。
 その声は雪原(せつげん)()()れるブリザードのような()てつく風を()き起こし、エデンの(はな)ったスィーツ攻撃(こうげき)()正面(しょうめん)からぶつかっていった。
 マカロンやマシュマロやマスクメロンの()れは、一瞬(いっしゅん)にして(こお)りつき、音を立てて地に落下(らっか)する。
「あぁーっ!失敗(しっぱい)しちゃった!」
 (くや)しそうに(さけ)ぶエデンを、猫神が真顔(まがお)()(かえ)る。
「……それは失敗もするだろう。マスクメロンはともかく、マカロンとマシュマロってのは何だ。なぜ、もっと攻撃力(こうげきりょく)のありそうなものを(えら)ばない?」
 猫神の(あき)()てた眼差(まなざ)しに、エデンはショボンとうなだれる。
「だって……パパのも()たような技だったし……」
慈恩(じおん)は技名の和菓子(わがし)そのままではなく、想像力(そうぞうりょく)でアレンジを(くわ)え、攻撃性(こうげきせい)を高める工夫(くふう)をしていた。(てき)にただ甘い菓子(かし)を投げ(あた)えてどうするんだ」
「い……一応(いちおう)すごい(いきお)でぶつけようとしてみたし……」
「お前、何をエラそうに姫君(ひめぎみ)説教(せっきょう)しているんだ!?姫君はまだ初心者(しょしんしゃ)なんだぞ!これだけの物を具現化(ぐげんか)できれば充分(じゅうぶん)じゃないか!」
 猫神の小言(こごと)にささやかな抵抗(ていこう)を見せるエデンにレトが加勢(かせい)し、収拾(しゅうしゅう)がつかなくなりかけたその時、(ふたた)災厄の獣(カラミタス・ビースト)()えた。
 物を一瞬(いっしゅん)(こお)りつかせる絶対零度(ぜったいれいど)強風(きょうふう)が、今度はエデンたちに(おそ)いかかる。
(あぶ)ないッ!」
 猫神はとっさにエデンを(かか)えて左に()び、レトは(ぎゃく)に右に跳んで攻撃(こうげき)()ける。
「エデン!もう一度だ!新しいイメージが()かばないなら、また慈恩(じおん)の技を使えばいい!このまま(ビースト)攻撃(こうげき)を続けさせれば、結界内の気温が()がっていく一方だ!」
「……って言うか、もう(すで)にだいぶ(さむ)いよ……っ。何だか、(あし)が冷たいし、おなかも()えて(いた)い……っ」
 エデンはぶるぶる(ふる)えながら両腕(りょううで)(はら)(かか)えてうずくまる。猫神は「しまった」と言いたげに(くちびる)()んだ。
「……そうか。お前、体調(たいちょう)(もど)りきっていなかったな。その状態(じょうたい)でこの冷気(れいき)(どく)でしかない、か」
「姫君!ここは一旦(いったん)退却(たいきゃく)しましょう!集中力(しゅうちゅうりょく)()いた状態(じょうたい)魔法(まほう)(あやつ)るのはムリです!あのストーンサークルの中に1つだけ、外へ(つう)じる“(ゲート)”があります!そこをくぐれば結界を出られますから!」
「でも……高梨(たかなし)さんを()いてはいけないよ……っ!」
 足元から()()がってくるような冷気に身を(ふる)わせながら、エデンが(さけ)ぶ。
 するとレトが何かを決意(けつい)したように目をキッと細め、(たお)()す少女の方を見た。
()(あるじ)の学友の少女よ……その身を()かせ、我が元へ()たれ」
 レトが片腕(かたうで)()げ、おごそかに()げると、少女の身体(からだ)があお向けのまま、ふわりと(ちゅう)に浮いた。そしてそのまま(すべ)るようにこちらへ向かって移動(いどう)してくる。エデンは目を見開(みひら)いた。
「これって、レトの能力……!?私と一緒(いっしょ)じゃなくても使えるんだ!?」
 だがその横で猫神(ねこがみ)は小さく舌打(したう)ちし、レトへ向け(さけ)ぶ。
無茶(むちゃ)をするな新人!主の介在(かいざい)無しに能力を使えば、その分寿命(じゅみょう)(けず)ことになるんだぞ!」
「…………えっ……」
 その言葉に、エデンはさっと青ざめる。
「……そんなこと、(おれ)よりお前の方が分かっているだろう!」
 レトはすぐさま言い(かえ)す。だがその顔は心なしか先ほどより青ざめ、(あせ)(つた)っているように見えた。
「そんな……っ。レト、ダメだよ……っ!」
 エデンはふらふらとレトに()()り、自分の力を()(あた)えようとするように必死にその(うで)をつかむ。
「……いけません、姫君(ひめぎみ)体調(たいちょう)がお悪いのに、魔法(まほう)など使っては」
「ばかっ!レトの命の方が大事(だいじ)に決まってるでしょ!?さっきだって……前みたいにいっぱい魔法(まほう)使わせて、結界(けっかい)出た後に(たお)れられたらどうしようって思って……それでレトを(えら)ばなかったのに……。全部ムダになっちゃうじゃない……っ」
「姫君……」
 思いがけない事実(じじつ)を知らされたレトは、(きょ)()かれたようにエデンの顔を()り返る。その顔には徐々(じょじょ)こらえきれない(よろこ)びの色がにじんでいった。
「……感動(かんどう)しているところ(わる)いが、サッサとここを()けるぞ。出口の場所ならもう()り出した。二人ともオレについて来い」
 いつの()にか猫神もすぐそばに来ていた。その手にはいつ取り出したのか、方位磁石(ほういじしゃく)のようなものが(にぎ)られている。
「では、姫君」
 レトは(ことわ)るヒマを(あた)えず、さっとエデンをお姫様()っこする。
「ちょ……っ、レト……っ!身体(からだ)大丈夫(だいじょうぶ)なのっ!?」
「大丈夫です。今、姫君は俺に力を(そそ)()もうと(ねん)じていらっしゃるでしょう?姫君のあたたかい御力(おちから)が、俺に流れ込んで来るのが分かりますから」
「なら、いいけど……」
「姫君、ご学友が宙に()いて我々(われわれ)について来るイメージを、頭の中に浮かべ続けていてください。俺は今から魔法のコントロールを姫君に(ゆだ)ねて、走ることに集中しますので……!」
 レトがそう言って走り出したのと、災厄の獣(カラミタス・ビースト)(ふたた)()えたのは、ほぼ同時だった。
「え……っ、ちょ……っ、そんな急に……!」
 右に左に(ビースト)攻撃(こうげき)()けながら走るレトの(うで)の中で、エデンは先ほどレトがやってみせた“魔法”を参考(さんこう)に、必死にイメージし(つづ)ける。クラスメイトの少女は、エデンのイメージの不安定(ふあんてい)さを(あらわ)してか、ふらふら(ちゅう)上下(じょうげ)しながらも何とか三人について来る。
 だが、少女だけでなく災厄の獣(カラミタス・ビースト)も、三人と少女を追ってついて来ていた。
「……やはり()って来るか。仕方(しかた)ない」
 猫神は舌打ちして()り返り、ブレスレットをした方の手を大きく()った。
ちりん、という(すず)()と同時に、三人と(ビースト)の間に大きな二輪の台車に()せられた古めかしい(かた)大砲(たいほう)(あらわ)れる。猫神が手を()ってもう一度鈴を()らすと、ずどん、という轟音(ごうおん)とともに砲弾(ほうだん)が飛び出し、(ビースト)後方(こうほう)へ大きく吹き飛んだ。
「よし!今のうちだ!」
 獣はちょうどスィーツの氷づけが(ころ)がっている(あた)りに落下(らっか)する。その衝撃(しょうげき)で氷づけスィーツは辺り一面に派手(はで)()らばった。
「あの“(ゲート)”をくぐるんだ!(いそ)げ!」
 猫神が方位磁石(ほういじしゃく)方角(ほうがく)(たし)かめながら、巨石(きょせき)と巨石の間のとある一点を指差(ゆびさ)す。
 ストーン・サークルの巨石の向こう(がわ)はほとんどが灰色のモヤに(つつ)まれていて何も見えないが、猫神の()(しめ)した部分だけ、結界(けっかい)に入る前に見たショッピング・モールのフロアの景色(けしき)陽炎(かげろう)のようにゆらめいていた。
「……あれ?(れい)の獣、()って来ないようですが……」
 レトが不思議(ふしぎ)そうに背後(はいご)()(かえ)る。エデンも不思議に思ってそちらへ目を向けると……
「え……?あのコ……私の攻撃(こうげき)……食べ……てる?」
 (ビースト)氷づけになったマカロンやマシュマロやマスクメロン鼻先(はなさき)を近づけ、そのままガツガツと(むさぼ)()っているようだった。
 透明(とうめい)な獣の口の辺りで、スィーツが次々に粉砕(ふんさい)され、消滅(しょうめつ)していく。
「アレはお前の“力”を具現化(ぐげんか)したモノだからな。無害化(むがいか)してしまえば(けもの)(かて)にもなる、ということだ。アレを(すべ)()らいつくせば(ふたた)びこちらに向かって来るぞ。……お前の力を取り()んで、さっきより数段(すうだん)パワーアップした状態(じょうたい)な」
「そんな……。じゃあ、私は、本当にあのコにただエサをあげただけ……」
 うつむくエデンの頭を、猫神がぽん、と(たた)く。
「それが今、足止めになっているのだから結果(けっか)オーライだ。今はその(むすめ)を安全な場所まで(はこ)ぶのが先決(せんけつ)だろう。さっさとここを出るぞ」
 言いながら猫神が(ちゅう)()いた少女の身体(からだ)を自分の(うで)(かか)え上げる。
 その光景(こうけい)にエデンの(むね)一瞬(いっしゅん)チクン、と(いた)んだ。だが、それがなぜなのか、この時のエデンにはまだ()かっていなかった。

藤花

 “(ゲート)”を()けると、そこはもうショッピング・モールの日常風景の中だった。
 門をくぐり抜けている間に変身も()け、エデンたち三人は元通りの姿(すがた)雑貨屋(ざっかや)片隅(かたすみ)に立っていた。
 だが、クラスメイトの少女は変わらず猫神(ねこがみ)(うで)の中でぐったりしている。
「ん……?……モモキ……?どうしたんだ、モモキっ!」
 会計を終えて(もど)ってきた彼女の義兄(あに)が、顔面を蒼白(そうはく)にして()けつけてくる。
貧血(ひんけつ)か何かでしょうか。ちょうどオレが通りかかった時に(たお)れかかってきて……」
 猫神が前にも聞いたことのあるような言い(わけ)をしながら少女を義兄(あに)の手に(わた)す。その時、服の(そで)から再びちらりと例のブレスレットが見えた。
(……あれ?あのブレスレット……前見た時と(ちが)う……?黒い部分が()えてるような……)
 少女を義兄(あに)(まか)せ、エデンたちはその場を(はな)れる。人目のない場所を(さが)して階段の(おど)()まで来ると、猫神はおもむろにエデンを()り返った。
「あの娘から災厄の獣(カラミタス・ビースト)(にお)(うす)れた。だが油断(ゆだん)禁物(きんもつ)だ。エデン、学校であの(むすめ)から目を(はな)すなよ」
「あ……うん。あ、あの……猫神先輩(せんぱい)……」
 ブレスレットのことを()こうとして、だがエデンは上手(うま)く言葉が出て来なかった。なぜか、そのことに()れてはいけないような予感がしたのだ。
 猫神は言葉につまるエデンを優しい目で見つめ、(かす)かに()みを()かべる。
「早く家へ帰って休め。明日は学校があるんだからな」
「あ……はい。ありがとうございます」
 そのまま()って行こうとし、だが思い直したように立ち止まり、猫神はもう一度エデンを振り返る。
「……急がせるつもりはないし、無理をさせるつもりもないが……お前には強くなってもらわなければ(こま)る」
「え……?」
「技に対するイメージ(りょく)(やしな)い、契約の獣(エンゲージド・ビースト)との(きずな)を深めていけ。……慈恩(じおん)(すく)い出せるとしたら、それはきっと娘であるお前だけだから……」
「パパ……?パパが一体、何……?」
 聞き返そうとした瞬間(しゅんかん)、エデンの脳内(のうない)にビリッと奇妙(きみょう)なイメージが浮かんだ。
 一瞬(いっしゅん)で消え、何なのか(たし)かめることもできなかったそれに、エデンは言いようのない恐怖(きょうふ)(おぼ)えて立ちすくむ。
(何?今の……。知ってるような……でも、思い出せない。何だか、コワイ……)
姫君(ひめぎみ)!?お顔の色が()(さお)です!やはり先ほどご無理をなさったから……。早く休める場所へ移動(いどう)しましょう!」
 いつの()にか猫神の姿(すがた)はもう見えなくなっていた。心配して(さわ)ぐレトの声をどこか遠くに感じながら、エデンは自分で自分に()いかける。
(そう言えば……パパって、どうしていないんだっけ……?『事故(じこ)』って、聞いた。でも、事故って何の……それでパパはどうなったんだっけ?私、それをママにちゃんと聞いたっけ……?)
 思い出そうとすると、なぜか暗闇(くらやみ)の中の(そこ)なし(ぬま)に足を()()れているかのような恐怖を感じる。
(こわい……ヤダ。これ以上、考えたくない……。何なの、これ。何で私の記憶(きおく)の中に、こんなよく分からない部分があるの……?)
 エデンはその恐怖(きょうふ)から身を守ろうとするように、無意識(むいしき)に自分で自分の身体(からだ)()きしめた。
「姫君っ!」
 ふらつくエデンをレトが(ささ)える。そのあたたかい(うで)の中で、エデンは何かから(のが)れようとするようにゆっくりと意識(いしき)手放(てばな)していった。

藤花

 次にエデンが目を()ましたのは、自室の天蓋(てんがい)()きベッドの中だった。
(……あれ?私……結局(けっきょく)また気を(うしな)っちゃったんだっけ?……レトが(はこ)んでくれたのかな?)
 クラスメイトの少女を()れて災厄の獣(カラミタス・ビースト)結界(けっかい)脱出(だっしゅつ)したことは(おぼ)えている。だがその後のことが(みょう)におぼろげで、上手(うま)く思い出せない。
(今、何時だろう?レトはどうしてるのかな?)
 とりあえず部屋を出てリビングの方へ向かってみる。
 『レトがいたら迷惑(めいわく)かけたことを(あやま)ろう』と思って()けた(とびら)の先に、目当(めあ)ての姿(すがた)はなかった。()わりに、エデンを今日こんなトラブル(つづ)きのデートに向かわせた張本人(ちょうほんにん)・アズライトが鼻歌(はなうた)を歌いながらテレビ台の()掃除(そうじ)をしていた。
「ん?お嬢様(じょうさま)!目が()めたんですねー!良かった良かった。レトの(やつ)()(さお)な顔で心配してましたよー」
 相変(あいか)わらずへらりとしたその顔に、今日味わった数々の出来事(できごと)走馬灯(そうまとう)のように(よみがえ)り、エデンは思わずムッとして口を(ひら)いていた。
「アズライトさん!今日私とレトがデートした方がいいなんて、(まった)くのウソじゃないですか!具合(ぐあい)(わる)くなるし、クラスメイトに目撃(もくげき)されちゃうし、災厄の獣(カラミタス・ビースト)(あらわ)れるしで、最悪(さいあく)でしたよ!」
 だがアズライトはへらへらした顔を全く(くず)さない。
「いやー、大変でしたねー。レトの(やつ)からも聞いてますよ。まさか災厄の獣(カラミタス・ビースト)が出て来るとは。(おれ)の“予感”じゃそこまで(こま)かいことは分かりませんからねー」
「だからっ!どうしてソレで『今日デートした方が私のためになる』ってことになるんですか!?」
 (まゆ)をつり上げてつめ()るエデンに、アズライトは笑顔(えがお)のまま、思いもよらない言葉を返してきた。
「いや、そりゃ俺にも分かんないっすよ」
「…………は?」
「つーか、俺は『今後のお嬢様(じょうさま)ためになる』とは言いましたけど『今日のデートが楽しくて良いものになるだろう』なんて一言(ひとこと)も言ってないですよ?そもそもこの世の中、自分の『ためになる』ことが楽しかったり面白(おもしろ)かったりするとは(かぎ)らないじゃないっすか。身体(からだ)には良くてもメチャクチャまずい食べ物があったりするようにっすねぇ……」
「そ……それはそうかも知れないけど……。私、今日デートすれば何かいいことがあるんだって、思ってたもん……」
 エデンは自分が早とちりをしていたことに気づいたが、面白がっているようなアズライトの顔がシャクで、(なん)だか素直(すなお)(あやま)ることができなかった。
「んー……まぁ、今日はイマイチな一日だったとしても、これからイイことがあるかも、ですよ。『今後のためになる』ってことは、今日お嬢様が()こした行動のうちのどれかで、今後の良い展開(てんかい)をもたらす何かしらのフラグが立ったってことだと思うっすから。まぁ、それが何で、これからどんなことが起こるのかは、俺には()めねぇっすけどね」
 明るく笑ってそう言うアズライトに、エデンは何だか(おこ)ったりムキになったりするのがばからしくなってきた。
「……そういうもの、なんだね。……ごめんなさい、()つ当たりみたいなことして」
「いや、いいっすよ。俺、いっつもこんなんだから、アンバーやマイカにもいっつも(おこ)られてるし。あいつらの(いか)りに(くら)べたら、お嬢様のなんて仔猫(こねこ)ちゃんのカンシャクみたいで可愛(かわい)らしいもんですよ」
 その言葉に『へらへら笑ったままアンバーに怒鳴(どな)られているアズライトの図』が自然(しぜん)と頭に()かび、エデンは思わず()き出していた。
「……(たし)かに、いっつも怒られてそう。(とく)にアンバーさんとか、すっごく(こわ)そう」
 気づけばエデンはムカついていたことも、勘違(かんちが)いに気づいて小さな罪悪感(ざいあくかん)を感じていたことも(わす)れ、ほっこりした()みを()かべていた。
「……でも何か、いいですね。最悪な一日にあったことが、これから起こる素敵(すてき)な何かのフラグになってるなんて。そう(かんが)えれば今日の散々(さんざん)(はつ)デートも、少しはマシに思えるかな……?」
「まぁ少なくとも、今日一日でレトの(やつ)のお嬢様へのラブ()確実(かくじつ)にアップしてますね。『姫君が俺の身を(あん)じてくださった』『ご自分の具合より俺の命の方が大事だと(あつ)(かた)ってくださった』ってノロケまくってましたし」
 自分の知らぬ()()わされていたとんでもない会話内容(ないよう)に、エデンの顔は一瞬(いっしゅん)にして()()()まる。
「ノ、ノロケって……ち、(ちが)うもん!レトを心配するのは(こい)とかじゃなくて……もっと家族的(かぞく)なアレで!……って言うか、レトってば何を勝手(かって)に言いふらしてるの!?ちょっと(つか)まえて、一言(ひとこと)言っておかないと!」
「あー、レトの奴なら今、厨房(ちゅうぼう)でこき使われてるっすよー」
 後輩(こうはい)をかばう気がまるで無いアズライトがアッサリ居場所(いばしょ)をバラすと、エデンは(れい)を言ってすぐさまリビングを飛び出す。猛烈(もうれつ)(いきお)いで走り()っていくエデンを見送った後、アズライトはふいにへらへらした笑みを引っ()真顔(まがお)になった。
「……過去(かこ)を気にする素振(そぶ)りはない。暗示(あんじ)()けていないみたいだなー……」
 口調(くちょう)にはまだ(かる)調子(ちょうし)(のこ)っているが、その声には一切(いっさい)感情(かんじょう)が無かった。
「でも、(かなら)その時は来る。お嬢様(じょうさま)には今のうちに強くなっておいてもらわないとだな……。旦那様(だんなさま)かお嬢様かの二者択一(にしゃたくいつ)なんて、そんな(つら)選択(せんたく)をあの(かた)にさせるわけにはいかないしなー……」
 本能(ほんのう)(かん)じ取ったままに、(かれ)はつぶやく。その不穏(ふおん)な“予感”を知る者は、現時点でまだ彼一人だけだった……。

episode3-end 

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初回アップロード日:2017年7月9日 
 
 
 
ティアラ(装飾)

このページは津籠 睦月によるオリジナルファンタジー小説の本文ページです。
構成要素は恋愛(ラブコメ)・青春・魔法・アクションなどです。
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ティアラ(装飾)
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