魔法巫女エデン

 
Episode2:My 愛犬 is like a 王子様<6>

〜ワタシノワンコ、マルデオウジサマ〜

アンバーが天を(あお)ぎ、甲高(かんだか)く鳴く。直後、その足元の木が急激(きゅうげき)に枝を()ばし、エデンたち目がけて(おそ)ってきた。しかも今度(こんど)は一本だけでなく、数本が時間差(じかんさ)で襲ってくる。
 
「姫……ッ!
 
 レトは素早(すばや)くエデンを()き上げ、横に跳躍(ちょうやく)して枝々を()ける。
 
「姫!早く変身を!」
「うんっ!キャラメル・キャラメラ・キャラメリゼ!」
 
 エデンはレトにお姫様抱っこされたままの状態(じょうたい)で変身し、空中に光とともに(あらわ)れた(ロッド)を片手を伸ばしてキャッチする。
 
「……で、どうしよう?アンバーさんに一撃(いちげき)入れなきゃなんだよね?でも、どうやって……?」
 
「先ほどの説明(せつめい)(とお)り、俺に使えるのは“念動(ねんどう)”だけです。何か、攻撃(こうげき)に使えるようなモノ結界内(けっかいない)()ちていれば良いのですが……」
 
 レトとエデンは同時に結界内を見渡(みわた)してみる。
 
 だが岩の鳥居(とりい)にもイギリスのストーン・ヘンジにも()たものに(かこ)まれた(まる)空間(くうかん)の中には、アンバーのとまる木と、ところどころに()えた草花(くさばな)以外(いがい)は小石一つ見当(みあ)たらない。
 
「えっと……何も()い、ね……。どうしよう……冷や汗
「さすがアンバー先輩(せんぱい)初心者(しょしんしゃ)向けとは思えないスパルタ仕様(しよう)ですか……」
 
 レトが舌打(したう)ちとともにつぶやくと、すかさず(するど)い声が飛んでくる。
 
「聞こえているぞ、新入(しんい)り!(きび)しくするのは当然だろう。そもそも災厄の獣(カラミタス・ビースト)の結界の中はその(けもの)にとって能力の発揮(はっき)しやすい――(ぎゃく)に言えば(まね)かれた者たちにとって不都合(ふつごう)な空間になっていることがほとんどなのだからな。(あた)えられた状況の中でいかに戦うかを考えるのも重要(じゅうよう)戦闘(せんとう)スキルだ。しっかりと考えて、しっかりと(まな)ぶんだな」
 
 言い終わるなり、アンバーが(ふたた)び天を(あお)いで鳴く。するとエデンたちの足元がふいに隆起(りゅうき)し、そこから何本もの(いばら)のつるが飛び出してきた。
 
「え……っ汗、ちょ……っ、ひゃあぁあぁあっ!青ざめ汗
「姫っ!しっかりとつかまっていてください!」
 
 レトはエデンを()きかかえたまま、まるでダンスのステップでも()むかのような足さばきで器用(きよう)に茨を()けていく。
 
 だが、そんなレトとエデンを追いかけるように、地面(じめん)からは次々と(いばら)()え、そのつるを伸ばし、二人を追いつめていく。
 
「く……ッ、()()が……っ汗
 
 苦しげにうめくレトの(うで)に抱かれながら、エデンは必死に結界内を見回し、()げられる場所を(さが)す。
 
「レトっ!見て、あそこ!地面が岩でできてる!あそこなら下から茨が()えてくることはないよ!」
 
 地面が何十(メートル)にも(わた)(かた)岩盤(がんばん)(おお)われた地点を見つけ、エデンが(さけ)ぶ。
 
「はいっ!」
 
 レトは返事(へんじ)と同時に()け出し、ジャンプして一気(いっき)にその地点へと()り立った。
 
 (いばら)はそれでも岩盤(がんばん)の外からつるを伸ばすが、ある程度(ていど)以上の長さには伸びられないのか二人までは(とど)かない。レトとエデンは同時にホッと安堵(あんど)の息ため息をついた。

クローバー
 
 
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Episode2−110
 
  このページは津籠 睦月によるラブコメ・ファンタジー小説 「魔法の操獣巫女(マジカル・ビーストテイム・シャーマン)★エデン」の
シンプル・レイアウト(デコレーション・モードLV2)版です。
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シンプル・レイアウト版は用語解説フレーム版より後に制作しているため、ストーリーが若干遅れています。
 
 
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