刀作りは一朝一夕ではできない

現代の刃物(包丁)などは機械で打ち延ばし、1本どころか数本を数時間で作ることもあるようですが、全て手作業で行う刀作りはそういうわけにはいきません。

以前ドキュメンタリー番組で見た刀匠の方は、一本の日本刀を三人がかりで三ヶ月かけて作っていました。

鋼を火で熱しては打ち延ばし、打ち延ばしては折りたたみ、さらに打ち延ばし…そうして12回以上折りたたむことで厚さ1cmの金属の中に4000以上もの層ができあがり、それが刀の地肌の模様となって表れるのだそうです。

また、一人前の鍛冶職人となるまでも相当な年数が必要で、弟子入りから5〜6年はひたすら木炭や炉についての基礎技術を学ぶ修行の日々、それから自分で刀を打てるようになっても一人前と認められるにはさらに5年近くの年月が必要なのだそうです。

物語中の真大刀は鍛冶の郷に暮らす少年ということで、物心ついた時から鍛冶場に出入りして様々な物事を見聞きしている・さらには現代より大分寿命の短い古代の設定ということで、相当に若いうちから大刀を打つことを許されていますが、現在は天才ながらもまだ一人前未満の修行中の身で、早く凄い名刀を打てるようになって皆に認められたいと思っているという、そんなイメージで描いています。

女人禁制の掟

鍛冶の作業場にはかつて女人禁制の掟があったと言われています。
作業場に女性を入れないというだけでなく、鍛錬期間中は女性の作った食事を食べないで自炊する、女性が入った後のお湯を使わないなど、とにかく女性を避けていました。

その女人禁制の理由は、鍛冶の神である金屋子神という女神(男神という説もあります。)が女性に嫉妬し嫌うからだとも、上古にあった女性を不浄視する社会通念からだとも言われています。

直刀から彎刀へ

以前も用語解説などで書きましたが、古代の「大刀」は現在「日本刀」と言って皆様がイメージするような反りのある刀剣とは違い、むしろ大陸の刀剣に近い真っ直ぐな形のものでした。

これは現在の日本刀のように「斬る」ことには向かず、むしろ「刺す」を目的とした刀剣でした。

この真っ直ぐな「直刀」が反りのある「彎刀」へと変化したのは平安時代です。
この時代の中頃には徐々に浅い外反りがつくようになり、平安時代後期、武家が勢力を持つようになると「大刀」の字が「太刀」へと変化するのとともに刀に雄大な反りが加わり、より実戦的なものへと変わっていったと言われています。
  

 
※このページは津籠(つごもり) 睦月(むつき)によるオリジナル・ファンタジー小説花咲く夜に君の名を呼ぶ(古代ファンタジー小説)
  ストーリーや用語に関する豆知識やこぼれ話・制作秘話などを蛇足に解説したものです。
  解説の内容につきましては資料等を参考にしてはいますが、諸説あるものもございますし、
  管理人(←歴史の専門家ではありませんので)の理解・知識が不充分である可能性もありますのでご注意ください
ファンタジー小説解説へびさんのあんよ
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