【カゼフルヒレ(風振領巾or振風比礼)】

物語中に出てくる「振風比礼(かぜふるひれ)」は、古事記などの日本神話の中に登場する不思議な呪力を持つアイテムのうちの一つです。
物語中では大宮に納められている神宝の一つ、という設定で魂依姫・雲箇にまとわせています。

物語中に出てくるのは「振風比礼」だけですが、古事記やその他の伝承に伝わる不思議な力を持つ神宝は、領巾(ひれ)だけでも他に「切風比礼(かぜきるひれ)」「振浪比礼(なみふるひれ)」「切浪比礼(なみきるひれ)」「蛇比礼(へみのひれ)」「呉公(むかで)蜂比礼(はちのひれ)」「品物比礼(くさぐさのもののひれ)」など様々なものがあります。

当初は水神の国の筆頭巫女のアイテムなので水属性のアイテムを装備させるべきかとも考えたのですが、水属性の神宝はどちらかと言うと「海」「波」に関するものが多く、海に面していない「さいたま市(がモデルの場所)」で使うにはいろいろと使い勝手が悪かったため、風属性の「振風比礼」となりました。

ちなみに設定上、この「振風比礼」は霧狭司国がかつて交流のあった、風神を鎮守神に持つ「斎風国(イセノクニ)」から贈られたもの、ということになっています。(そして霧狭司国はお返しに水属性の神宝を斎風国に贈っています。)

【神宝発動呪文】

物語中で雲箇が「振風比礼」の呪力を発動させるために口にしている呪文、実は普通描写版と倭風描写版とで違うのですが、ともに「布瑠(ふる)(こと)」というものを参考にさせていただいています。

「布瑠の言」は言霊(ことだま)の一種で、正式には「ひふみよいむなやここのたり、ふるべ、ゆらゆらとふるべ」というのですが、前半部分の「ひふみよ…」は一から十までの数を表すもので、それぞれが「十種神宝(とくさのかんだから)」という10種類の神宝の一つ一つに対応しています。

唱える際に、この十種神宝をイメージしながら唱えると「死者が甦る」ほどの奇跡が起こると言われています。
そんなことから、物語中では「神宝の呪力を引き出す言霊」というイメージでアレンジして使わせていただいています。(※普通描写版でのアレンジには作者の自己解釈が入っています。そして2回ある「フルエ」が「揮え」と「振え」で字を変えているのはわざとです。)

ちなみに「十種神宝」というのは以下の10アイテムのことです。

  1. 澳津鏡【おきつかがみ】
  2. 辺津鏡【へつかがみ】
  3. 八握剣【やつかのつるぎ】
  4. 生玉【いくたま】
  5. 足玉【たるたま】
  6. 道返玉【ちがえしのたま】
  7. 死返玉【まかるがえしのたま】
  8. 蛇比礼【おろちのひれ】or【へびのひれ】
  9. 蜂比礼【はちのひれ】
  10. 品物比礼【くさぐさのもののひれ】
 
※このページは津籠(つごもり) 睦月(むつき)によるオリジナル・ファンタジー小説花咲く夜に君の名を呼ぶ(古代ファンタジー小説)
  ストーリーや用語に関する豆知識やこぼれ話・制作秘話などを蛇足に解説したものです。
  解説の内容につきましては資料等を参考にしてはいますが、諸説あるものもございますし、
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ファンタジー小説解説へびさんのあんよ
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