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花咲く…ここだけの話29

「偶然フィールドワーク」
       
津籠は学生時代、小規模な古墳の発掘作業に参加したことがあります。
 
当時は古代日本風の世界が舞台の小説を書こうという気など全くなく(興味はありましたが)、単に授業の単位を取るため偶然参加しただけだったのですが、今にして思えばとても貴重な体験でした。
 
「古墳」と言うと「もはや1つの丘」というサイズの大規模な前方後円墳(←鍵穴のような形をした古墳のことです。念のため。)を想像される方も多いかと思いますが、古墳というのは実際は大小さまざまバリエーションに富んでいて、小規模なものは住宅地の中にひょっこりあったりするのです。
 
しかも住宅建設予定地などに古墳などの遺跡が見つかってしまうと、発掘調査が完了しないと工事に取りかかれないため、家を建てる予定が延びてしまったりなどして大変なのです。
 
津籠が参加した発掘調査では、麦わら帽子で首には手ぬぐい、腕には腕カバーという「まるで農作業スタイル」な方々が発掘作業にあたっていました。
ちなみに夏休み中だったのですが、炎天下でも日焼け防止のため長袖が必須だったのです。
 
熱中症予防のため、作業現場の片隅には、運動会などでよく見られるような白いテントが張られ、たびたびそこで休憩(屋外なので日陰がそのテントの下しか無いのです。)および水分補給をしながらの、ゆっくりとした作業でした。
 
それと、実際に参加しなければ知らなかったことなのですが、発掘作業をしている横では古墳の測量をする測量士の方がいて、古墳の図面を作るために場所を変えながら何度も測量を行っていました。
 
津籠は一日だけの参加でしたが、発掘の成果としては大したものが見つからず、土器の破片をいくつか(丸一個分にも満たない程度)掘り当てられただけでした。
予めある程度は予想していましたが、手で土を掘っていくという作業は大変で、一日で掘り進められる範囲というのは思っていたよりずっとずっと少なかったのです。
 
古墳の発掘作業というものは、絵面(ビジュアル)的には今までぼんやり考えていたものとそう大差はありませんでしたが、実際に参加してみると、その地道さに頭が下がります。
 
歴史というのはこんな、資料にもあまり名の残らないような人々の地道な努力によって少しずつ解明されていくものなのだなぁと、しみじみ思った夏の一日でした。
 
 
 
 
 
 

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